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「ん、おいしーい。身体冷えちゃった。ほらーよかったでしょ。やっぱり来て」

「どこでそうなるんですかっ!あなたが教室までついて来たから来たんでしょっっ!光、巻き込んでごめん」

つくしの小さな謝罪に光は紅茶を飲みながら頷いた。授業をさぼってしまったけれど、たまになら良いだろう、その程度。むしろつくしと道明寺の婚約者を二人きりにする方が心配だった。

「まあまあ。お茶をする時争うのはネズミよりバカって言うでしょ」

「それどこのことわざですか?」

私も聞いた事がないと光も首を傾げた。

「私が今作ったの」

そりゃ知らないわ!思わずつっこみそうになったが、光はずずっと紅茶をすすった。会話に混ざろうとは思えないし、光はひたすら紅茶を飲み続ける。そしてシゲルの事を探っているだけ。

「ねえなんて名前?牧野なにさん?」

「…つくしです」

「へえかわいい名前。つくしのお友達の名前は?」

「宮永光です」

私は空気と思って良いのだけれども。気にしないで会話を続けて下さい。

「よろしく!でさ、つくしと光は道明寺司ってどう思う?」

私はそこまで知りません。光は自分に振られた話題を斬った。

「べつにあたしと道明寺とはなんっの関係もありませんから、御安心ください」

関係無くないでしょうが。光は眉間に皺を寄せた。

「そうじゃなくて――っ。あの男エッチすんの上手?」

昼間っからなんて事を…。つくしはテーブルに思い切り頭を打ち付けた。シゲルはそれを大事な事だと言う。顔を赤くしながら試してみればと言うつくしに光は視線を逸らした。この間そんな話をしたばかりだから人に何も言えない…。

「まだちゃんとした恋愛したことないのよね。どうせうちなんて政略結婚だと思ってたし、親がつれてくる人なんてコテコテのお坊ちゃまだと信じてうたがわなかった」

「…あぁ、それは分かります」

光は小さく頷いた。

「あ、光は分かる?良家に生まれれば結婚に希望なんて持たないけど…道明寺司ってけっこういい男じゃない。品はあるけど、ガサツっぽいし、私の人生捨てたもんじゃないなーと思って」

それに共感してしまう光が居た。総二郎さんも女たらしだけれど、決して悪くない、そんな印象を持っているから。

「ここいらでちゃんと恋愛しておこうと思ってさ」

「勝手にすればいいじゃないですか。そんなことあたしは全然関係ないですっ」

つくしにしては随分と冷たい返し方だと思った。つくしはきっと怒っている、やきもちをやいている。

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