「師範が集まる茶会の後きやがって、着物馬鹿にするし、牧野に貰ったクッキーの自慢しかしねぇの!しかも、あいつらクルーザーで海に出て、朝までほぼ二人きりだったくせに、なんもしてねーんだよ!信じられるか!?」
怒りながら言う西門を光はぼんやりと見ていた。ここのモカにもだいぶ慣れた。次は何か新しいのに挑戦しようかな。メニューを見ながら考える。
「聞いてんのかよ!?しかもあいつ殴りやがって、マジ意味わかんねぇ!」
「…私は和服好きだよ」
「そこじゃねぇし!」
一個一個返して行こうと思ったら謎の逆切れ。一体どうしろって言うんだよ、もう。光は溜め息を吐いた。私達は何度体を重ねようが変わらないのが良い所だと思う。でも、次の日に呼び出すのはいい加減やめて欲しい。こっちはだるくて仕方ない。そう思っていても予定がクリアになる事を光は喜んでいた。
「ねぇ、総二郎さん。暇な時無い?」
「はぁ?どうした、急に」
「遊園地行ってみたい」
光の突然の言葉に西門は訝しげな目をした。
「後水族館に美術館でしょ。それから…えっと楽しめそうな所にも行きたい」
「遊園地に水族館ってお前小学生か…?何で急に?」
「…私もさ、ようやく遊びたくなったと言うか、息詰まってる気がしたから。私もさ、そろそろ遊んで良いと思わない?」
「まぁな。光はいっつも根詰めすぎなんだよ」
「でしょう?総二郎さんと一緒って言えば大抵は許してもらえるし」
だからね、色々行ってみたい所があるんだ。多分、私初めての場所だらけだから。光は目をキラキラとさせながら西門に言う。そんな目で見られるとどうも断り辛い。
「…考えといてやる。けど、ガキッぽいのは却下だ。行っても美術館だな」
「うん、それでも良い。よろしくね、総二郎さん」
光がニッと笑えば調子狂うな、と西門は目を逸らした。
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bkm