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「司さん。あなたの大事な女性が意味することはわかってるんですか?」

「はい」

「おばさまっ!彼女は英徳の生徒で」

「僕らとも仲良しなんですっ!決してあやしい人間ではありませんよっ」

フォローを出す西門と美作を道明寺の母は一睨み。

「あなた方は黙っていらっしゃい」

その冷たい言葉に光でさえも息を飲んだ。

「あやしいかあやしくないかなんて低俗なことは聞いていません。道明寺家にふさわしいかふさわしくないか聞いているんです」

「……すみません」

「あなたお名前は?」

「ま…牧野つくしです」

「――牧野さん…聞いたことのないお名前ね。お父様は何をなさっている方なんですか?」

その人の人柄よりもまず先に父親の仕事ですか…なんと言うかここまで来ると呆れてしまう。そんな母親を目の前にしてここをどう切り抜ければ良いのか、光には分からない。

「牧野商事の社長」

類がそう呟いた。

「社長です。シャチョー」

なんて嘘を!?そんなのすぐにバレてしまうだろうに、それに西門と美作は便乗した。

「そ…そうなんです、主に輸入貿易を扱っている外資系企業でッ」

「一部上場なんですよ、ご存知ないですか!?」

「牧野。なんとかこの場を切り抜けろ。あの人は財界を牛耳ってる大人物で目をつけられた奴はひねりつぶされる。たとえそれが日本の総理大臣だって同じだ」

それを聞いてつくしは呆然としたまま何も言えない。

「そう。そういう家庭のお嬢さんなら楽器のひとつやふたつお出来になるんでしょうね」

そう言われてもつくしはピアノなんて弾けない。それを知っているかのように道明寺の母は周りにピアノを薦める。そしてつくしはピアノの前に座る事になる。

「…出来る事なら変わってあげたい…」

「…そりゃ俺らもだ」

こう焦っている光達を他所に道明寺は何も言わない。

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bkm
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