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「…道明寺さんのお母様はそんなに恐い人なの?」

中庭に出て、司会進行が進めて行くパーティーを傍観者としてみていた光は車を渡される道明寺を見ながら呟いた。うわ、あの車うん千万はする車だ。

「恐いなんてもんじゃねぇーぞ。あれは。強烈」

「その親あっての子なわけか…。出来たら関わりになりたくない。今日って私は一応総二郎さんの連れのポジションで合ってるんだよね?」

「そうだな」

…なら良かった。少なからずそう思った。あのF4でさえ恐れる人なんて想像しただけでも恐ろしい。もしも道明寺が直々に誘った、なんて言われた暁には真っ先に帰っているだろう。

「牧野。ちょっと来い。母親に紹介する」

「えっ、あっ、あたしいい!ここでまぎれてりゃわかんないし」

確かに母親の話を聞いた後で紹介されたい、とは私でも思わないわ。が、道明寺は簡単に諦めるはずがなかった。

「バカか!おまえ大袈裟に考えるこたねーよ。別に婚約者だって紹介するわけじゃねーんだから、調子こくな!」

やだとだだをこねるつくし、それを引っ張る道明寺。その辺でやめといた方が…そんな光の声も届かない。つくしはよほど嫌な為類のスーツを掴んだ。そしてビリッと破れる音のすぐにガシャーン!と大きな音を立て、つくしはテーブルに突っ込んで行った。料理まみれになるつくしと、呆然と、やってしまった…気まずい空気。

「まっ牧野、大丈夫か!?」

「と、とりあえず顔拭こう!」

慌ててつくしを起こすも時既に遅し。

「何ですか!?この騒ぎはっ。道明寺家長男の祝いの席で――一体どういうことですか」

道明寺の母が登場したのだ。しかも既にかなりご立腹の様子。冷たい声に冷たい視線。

「げっ、最悪の事態」

「お…お母様これは」

「椿さん、あなたは黙っていらっしゃい」

あの椿でさえを黙ざるを得なかった。周りの空気までも一瞬で冷たく出来る人だと思った。

「…あなた、どちらの方ですか?」

すごい威圧感でつくしを睨む道明寺の母親。

「あの、あのすみません、あたし――」

「司さん。あなたのお友達?」

「――はい」

「帰っていただきなさい」

だが、その命令に司は従わない。

「お母さん。この女は――俺の大事な女です」

辺りがざわざわとする。視線も集まる。そのせいでこちらは言葉を選ぶのも慎重にならなければならない空気だった。

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bkm
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