「美作さん、ありがとうございます。元気出ました。私、もっと前向きに頑張ってみようと思います!」
「うん、いい返事。じゃあ、景気付けに甘い物でも食べようか」
「はい!ここはショートケーキも美味しいんですけど、たまには違う物にしようかな」
「あ、ぜんざい美味そう」
「チーズケーキも捨てがたいです」
「全部頼んじゃう?」
「今、帯で絞められてるからそれは苦しいです!」
二人は控えめな声を出して笑った。まさか二人きりでこんな会話をする日が来るとは思っていなかった。
「でもさ、どうして俺に相談なんか?」
「以前に総二郎さんに相談した事があったので、違う方の意見も聞きたかったですし、それに美作さんが一番交友関係に気を遣っていそうだなと思いまして」
「俺が?」
「美作さんは人に気を遣うのが上手です。良いタイミングでコーヒー淹れてくれたり、声をかけてくれたり、私の周りの中で一番周りに気が遣える方です」
「………」
その言葉を聞いて美作は黙った。今まで俺にこんな事を言ってくれた人が居ただろうか。気を遣う俺を見ていてくれた人が居たんだ。ちゃんと俺を知ってくれている人が。
「…そういう所はきっとつくしと似てます。自分よりもまず先に誰かを優先してしまう所」
自分が耐えれば良いや、そう思ってきた所があった。小さい頃から自分勝手な奴らとつるんできたからこれが自然となっていた。美作は光の言葉をしっかりと心に留めておいてから目の前の光をジッと見た。
「光ちゃん、本当に良い性格してるよ。歳の離れたお姉さんとか居たら良いのになぁ」
「私の存在全否定じゃないですか、それ」
「…俺さ、よくお節介って言われるんだよねー」
「…誰かの為に頑張れる美作さんの事、結構好きです、私。そういう事を言う人達は美作さんの大変さを分かっていません。いなくなってからすごく大事だって気付くんですよ」
「…あぁ、総二郎の婚約者ってのがホントに惜しいや。ねぇねぇ、今度お母さんに会わせてくれてもいいよ?」
「誰が母の浮気の手助けしますか!」
何か悩みなんてふっとんでった。大小関わらず誰もが悩んでる。
終