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「俺も見てみたいから探すの付き合ってんだけど、隠れてんじゃねぇかってくらい見つかんねーの!」

美作が笑いながら言った。自分の探している人も同じだ。この学園には人が多すぎた。誰か特定の人物を探すのは余程目立っていない限り難しい事を知った。

「牧野さん、その人連れて早くそっちへ」

「え、でも…!」

「いいから早く!」

和也君が来てすぐに赤札が貼られて、全校生徒が敵になって逃げてた時だ。時間稼ぎにしかならないけど、ごめんね。そう言いながら追いかけてきた人達に向かって行ったんだ。

「あの人達ならあっちの方向へ行った!」

あたし達がいる所と正反対の方向に集団は消えて行った。本当に時間稼ぎしてくれた。あたしはそれだけで嬉しかった。ピンチの時に現れるヒーローみたい。勇ましい女ヒーロー。名前も顔も知らないその人にお礼を言いたいのに、姿を隠しているみたいに会えない。

「…さて、そろそろ授業始まるな」

光は屋上の更に上にある雨水ポンプの上からひらりと優雅に飛び降りた。ポケットに入れていた眼鏡をかけて、長くて結いやすくなった髪を丁寧に三つ編みにしていく。そして颯爽と歩く。ポケットに手を入れて歩くと猫背になると聞いたのを思い出して慌ててポケットから手を出した。

「…見つけられるのは時間の問題かなぁ」

ぽつりと呟く。



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