「光!花火の準備するぞ!」
「花火?何何、打ち上げるの?」
「あったりまえ!年明けの祝いだろ!」
「やるやるー!」
光は嬉々として花火の準備をする西門と美作の後ろに着いて行った。上着を取りに行って三人は屋上へと向かった。そして新年のお祝いの花火を打ち上げる。少し小さい花火だが立派なもの。あれ、花火上げるのに資格要らなかった?そういうのは関係無しだった。そして光は花火を見上げしみじみと呟く。
「ほえぇ…私こんな近くで花火見るの初めてだわ。やっぱり花火は少し離れて見た方が良いね」
「お前なぁ!俺らがこんなさみー思いして打ち上げてんのに、ぬくぬくしたお前がそーいう事言うなよな!」
確かに光は新しく買ったコートにふかふかのマフラー、手袋、ニット帽にブーツの完全防備だった。変わりに西門達は動きやすいよう薄手のコートに指先は真っ赤だ。それを見て光は仕方ないなぁ、と手袋を取り、西門と美作に片方づつ渡した。それに二人は首を傾げる。
「…何しろって?」
「総二郎さんは左手に、美作さんは右手に手袋はめて〜」
西門と美作ははめようとしない。そんな二人に早くはめろよ、光が二人に目で訴える。それを見て二人は渋々光に言われたように手袋をはめた。よし、と満足気に頷いて光は二人のそれぞれ空いた手を取った。
「これで温かい」
「…うわぁ、ガキみてぇ。寒いのが更に寒くなった!」
「なら手袋返せ!私の親切心!」
「まぁまぁ光ちゃん。あんま怒んないでよ。総二郎照れてるだけだから」
「…そっか、総二郎さんってば照れ屋さんッ」
「お前らうぜー!」
笑いながら三人仲良く手を繋いで室内へ戻った。
終
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bkm