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つくしの言葉に光は涙を流してうんと小さく呟いた後、子機を膝の上に置いた。

「…牧野なんて?」

「殴らないでいてくれて良かったって。あいつら殴って私が怪我するのは勿体無いだって……お人好しにも程があるよね、本当に…」

「…だから、お前は牧野とダチになりたかったんじゃねぇの?」

それもそうだ。多分、だからこそつくしに惹かれたのかもしれない。西門は光の頬に伝った涙をぐいっと親指で拭った。

「ありがとう…総二郎さん、私、殴ってたらつくしに嫌われてたかもしれない、何度も止めてくれてありがとう」

「婚約者様が暴走しないようにお守りするこっちの身にもなってほしーぜ」

「…でも、寸止めにしたら私怪我しないから大丈夫かな?」

「大丈夫じゃねぇよ!」

西門は光の額をそのまま押し、光はベッドに埋もれるように倒れた。

「…あー私ってばダメだ…すぐ手が出そうになる…」

「あぁ、男子百人斬りしたあれな」

「実際は百人もいなかったよ。三十人くらい」

「それでもすげぇっての。それも牧野の為だろ?お前が耐えられなかったんだろ?それはお前の良い所だろーが」

そう頭を撫でながら言われれば光は両腕を瞼の上に置いた。

「…ところで総二郎さん、着物持ってきてない?」

「お前さ、ここ良い雰囲気な。普通の女ならこのままキスする勢いだぞ?何だ、そのムード壊しは。つーか着物なんて持ってきてねぇよ」

「…日本の幽霊は出来ないか、やっぱり」

この長い黒髪使えばホラー映画が完成すると思ったのに。どこまでつくしが本気だか分からないけれど、協力できる事があるのなら私は精一杯つくしに協力しよう。

「何でカナダに日本の幽霊がいんだよ、アホか!」

確かに!ベッドの上で光と西門は声を出して笑った。



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bkm
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