「で、新年会の話なんだけど、私が参加しなきゃいけないのある?」
「ん〜…いや。正式な婚約発表してねーから、身内のやつだけで良いさ。確か三日のやつ。一応空けとけ」
「はいはい」
西門の側を離れると光は座席には戻らずにそのままつくしと優紀のもとへと向かった。
「…つくし、何かあったらまず教えて。後優紀ちゃんは気をつけて。私も気をつけるけど」
「…あいつらあたしが道明寺から100万借りた事知ってた…」
え?何で?どうやって知ったのか、それは知らない。それにしてもつくしってばついていない、というレベルではないくらい運が悪いような気がする。
「…私思ってたんだけど、つくしがF4絡みで平穏な日送れる事ってあんまり無いね」
「…あたしは普通の日を過ごしたいだけなのに…!」
光は落ち込むつくしの肩をぽんっと叩いた。そしてそのままつくしを見ていた英徳の生徒の方を見て睨みつける。ヒッと驚いた様な声を出したのを聞いてから光は自分の席へと戻った。飛行機から降りてそこからは車で三時間の所に道明寺の別荘がある。つくしや優紀は初めての海外に興奮しているようだった。それを光は横目で見て微笑む。
「…ねぇ、総二郎さん。私のキャリー持ってもいいよ」
「そんな押し付けがましいレディファースト聞いた事ねぇよ。自分で持て。どうせ車までだかんな」
「…少しでも身軽の方が飛び出しやすいと思ったんだけどな…」
「お前何する気だよ!?」
仲睦まじく話す後ろでは光を睨むような視線。英徳の生徒は自分と西門が正式ではないが婚約している事を知らない為にその視線は面倒な物だった。公式に発表していない分、公にするわけにも行かない。光は言ってやりたい気持ちを飲み込んだ。
「あぁ、もう車どこ!先に置いて戻って来る!」
「はぁ?お前アホだろー!」
アホで結構!光は大声を出した。つくしを守る為にはキャリーが邪魔だし、何より優紀ちゃんは一般人だ。つくし程逞しいようにも思えない。ここは私が頑張らなくては、光は意気込んだ。
終