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「何かつくし心ここにあらずって感じがした」

光はポツリと呟く。考え過ぎなのだろうか。それともお金を借金してしまった事を気にしているのだろうか。

「準ミスが嬉しすぎて実感湧いてないんじゃね?」

あぁ、そっか…。そうだったら良いけれど、これで私がお金を貸してあげると言ってもつくしは乗らない。そう知っているからこそ二人の間には入れない。光は新しく注いだワインに手を伸ばした。

「司やけに静かじゃん」

「牧野が準優勝して一番よろこぶのおまえじゃねーの?だいたい自分にふさわしいステイタスを持たせるって出させたんだからよ」

「るせえな」

西門の言葉を聞いても道明寺は特に慌てた様子も喜ぶ様子も無い。

「あ、ひょっとしてもう明日アポとってたりしたな」

なんて分かりやすいんだろう。道明寺は動きをピタリと止めた。

「かわいいっ!かわいすぎるッ、こいつッッ!」

「てめ、このやろう、はなせっ!殺すぞ!」

「和也君。これ美味しいよ。食べる?」

横で大声あげているのを他所に光も和也もマイペースだった。

「キンチョーしなくてもお兄さんが教えてあげるってばっ。あーいう強気な女ほど押しの一手でせまりゃコロッといくわけよ」

「そーそー。ムリヤリやっちゃえよ。うんとムード盛り上げて甘い言葉ささやきゃ一発」

「女をゲットするときゃ百発百中の」

俺達が言うんだからまちがいなしっっ。二人の言葉に光は笑いをこらえる。

「うるせぇんだよってめぇらはっ!」

道明寺が大きな声を出したと思えばつくしを追いかけて歩いて行った。

「あーあ、怒らせた」

「いーんだよ。司にはそれぐらいでちょーど良いって光は何で爆笑してんだよ…」

「総二郎さんは百発百中じゃなくて、百発九十九中。なんたって私は落ちてない」

「俺はお前を落とそうとした記憶はねぇよ!この酔っ払いが!」

冗談言い合って笑い合う日が終わるまでのカウントダウンのスイッチが光の中で押された。



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bkm
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