決勝となり栗巻あや乃とつくしがステージにあがった。
「汚ーぞ英徳代表!審査員買収してんじゃねーのかっっ!」
とびきり大きな声を皮切りにつくしを非難する声が殺到した。司会者が静かにと言ってもその声が治まる事はない。立ち上がって抗議する人もいた。
「なんだ、あいつら」
道明寺は何も言わずに立ち上がる。椿は思わず立ち上がった。
「司!?待ちなさいっ」
立ち上がって抗議した男に近付くと襟元を掴み上げ、一発お見舞いした。
「な…なにすんだよ、てめぇ!」
「あいつはあいつなりにがんばってんだよ。つまんねー事言って動揺させてんじゃねーよ、殺すぞ」
止めるのかと思った西門と美作もそいつらに近寄って言うのだ。
「そーそー」
「文句があったら英徳に来なさい、君たち」
F4のメンバーを知っていればもう抗議する人間はいない。つくしへの非難の声はピタリと止んだ。そして通常通り競技が始まった。審査員登場の声に出てきたのは大人数の幼児達だった。一緒に遊んで楽しんでもらった方が勝ち。今回の競技はそういうものだった。別室に移ったつくし達、それをモニターで見ているのは観客。移ってすぐにつくしが出足が遅れた事が分かった。21人の子供達は栗巻あや乃が弾くピアノの前に集まっていた。つくしはと言うとおもちゃ箱を漁っている。
「あいつカンペキにモニター忘れてんな…あのうんこ座り」
「…はずかしすぎる…」
その横で類はツボに入ったのか大声で笑っていた。そこに4名の子供達が集まる。が、吐く言葉は生意気そのものだった。
《あんたらいくつ?》
《5さいだよ。それがどうしたんだよ》
《あたしなんか17さいなのよっ》
《けっバカじゃないの。あっちでくだらない歌でもうたった方がマシだぜ》
《ま…っ、まちなさいっ!あんた達の性根あたしが叩き直してあげるわッ!》
その言葉に呆然とするのは4人。