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「…つくしすごい」

「まさか最終まで残るなんて思ってもなかったな」

西門は小さく呟いた。これを大声で言えば再び道明寺に殴られる事は目に見えていたからだ。それにしてもまさか最終選考まで残るとは。ここにいる道明寺以外は誰も思っていなかった事だった。

「…私だったら最初で落ちてたな」

「だろうな」

冗談で言えば西門もそれに同意しながら首を縦に振った。そこで認めんのもどーなのよ?もうちょっと頑張れたかもしれないが、残念ながらファッションセンスに独創性なんてない。無難なものを選んでしまうだろう。

「次は良妻賢母か。どんな競技なんだろ」

「さぁな。ねーちゃんの時はお好み焼き作ったらしーぞ」

「…お好み焼きなんて良家のお嬢様には作れないだろうね、普通」

「司が食いたがって作れるようになったらしいぞ」

なら、この競技は運も関係しているんだな。光は納得するように深く頷いた。

「なぁ、お前もう平気か?」

「何の話ですか?」

「さっき不安で不安でって顔してただろー?で、俺の服の裾握って来たろ!普段からあぁいうのが出来りゃ可愛げがあるんだけどな」

「ん〜…平常心では出来ないな、それ。思い出すだけで自分に笑えてくるもん」

「光はそういうタイプか!」

そうです!二人は顔を見合わせて笑う。いつか別れが来る事を知っているのは光のみ。光の笑顔は一瞬曇る。今後こういう時何度も思い出す、想像する事になるんだろうな。別れる事を。



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bkm
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