04



〜美羽side〜









――――はぁぁぁ〜っ…







今日、何度目か分からない溜め息がバックヤードに零れた







恭一さんが2号店へ行ってから1ヶ月が経とうとしている





メールや電話は、時々あるものの…


恭一さんらしいというか…何と言うか……







決してそれが不満な訳じゃない








電話やメールも苦手な筈なのに、いつもよりは多く連絡をくれてるし…







でも、やっぱり…



電波越しじゃなくて…会いたいよ―――――……













最後に会ったあの日





本当は家に帰りたくなかった





会えなくなる前に恭一さんに触れたかった








いつも感じていた事だけれど、恭一さんは言葉を選んで話す




何でも話して欲しいと思うのに…

決して、自分の内側を全部見せてくれようとはしない




その度に見えない壁を感じてしまう私は、何も言えなくなってしまう






そして、平気な振りをしてしまう自分…




いつの間にか

作り笑いまで上手くなっていた






ホント可愛げないな、私…







――――いつからだろう…





初めは一緒に居られるだけで幸せを感じていたのに…





もっと、もっと

恭一さんの側に行きたい





もっと、貴方の特別になりたい








想いは我が儘になるばかりだ



















〜恭一side〜








――――ふぅ…





今日は、さすがに疲れたな…






制服のシャツのボタンを外しながら、バックヤードに置いてあるパイプイスにドサッと座り込む





準備作業を終え、新しくオープンした2号店




客入りは上々で、連日の忙しさに慌ただしい日々を過ごしていた







美羽さんは、どうしているだろうか…






目を閉じ彼女を思い出す









あの日…




本当は家に帰したくなかった


朝まで一緒に過ごしたかった






けれど、それは彼女のご両親に心配をかける事になる








私は、どんなに遅くても終電には間に合うように、必ず毎回自宅まで送り届けていた







美羽さんの事が何よりも大切だから…





彼女を取り巻く人達、環境も…


全て大切にしたい










だが時々

大事に想い過ぎているが故にどうしていいか分からなくなる時がある







触れたら壊してしまいそうな…








やっと見つけた唯一の存在だからこそ





怖くて、身動きが取れなくなってしまうんだ――――――…














bkm



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