47 動き出したライバル



〜美羽side〜






妙子さんに話を聞いてもらった次の日




今の正直な気持ちをミケーレさんに伝えた






本気で向かって来てくれる相手に言い訳をして、いつまでも逃げてちゃいけない…




やっと、そう思えたから










だから…私は今、アマートに向かって歩いている







恭一さんにも、キチンと話をしておかなければいけない










“思い立ったが吉日”


なんてよく言うけれど、思い立った時にはお互いの時間がなかなか合わず、会う事が出来ないまま、日にちだけが過ぎてしまっていた






電話でも良かったのかもしれないけれど




やっぱり、直接…面と向かって自分の口から伝えるべきだと思った









そして、あれから5日経った今日





やっと、会う事が出来る








仕事の後、恭一さんがアモーレまで来てくれる事になっていたが、今日はお客様も少なくてラストオーダーの時間には誰もいなかった為、いつもより早く閉店する事が出来た





店で待っているのも何だかソワソワして落ち着かなかった私は





道の途中で恭一さんと会えるかと思い、アマートへ向かって歩いている…という訳だ











恭一さんに会うのは、真夜中に家に来たあの時以来……






緊張し過ぎる余り、上手く伝えられるか不安になってくる









―――ううん…大丈夫……大丈夫……






妙子さんも言ってたじゃない




頭で恋愛しちゃ駄目だって…






感じてるままに話せばいいんだ




うんうん






そんな葛藤を頭の中で何度も繰り返しながら歩みを進め




その不安をも覆い隠すように、もうすっかり肌寒く感じる夜風を避ける為、私は薄手のストールを巻き直した









けれど、その想いとは裏腹に、やはり緊張から無意識の内に足並みは早くなっていたようで





アマートまでもうすぐ…というところまで来てしまっていた










どうしよう…




このまま、お店に顔出しても大丈夫かな?





それとも、この辺で待ってた方がいいかな…





歩みを緩め、どうするべきが考える






考えながら角を右に曲がり






その先の直線に視線を向けたその時










突然、視界に人影が飛び込んで来た






思わず私の足は完全に止まる







だって、その人影は間違いなく





これから会う人だったから…









薄暗い街灯に照らされているお陰で、表情までは見えないが、その人が恭一さんだとハッキリ分かる









会う約束をしているんだから駆け寄れば良かったのかもしれない






けど、出来なかった












1人じゃなかったから…











“あなたより私の方が相応しいと思わない?”






隣にはあの人がいた





あの日……私に宣戦布告をしたアマートのスタッフさん








どうして2人が…?







手にかき始めた嫌な汗をキュッと握り締める








2人はそこで立ち止まり、何かを話しているようだ





声を掛けるにも掛けられないその状況に



私はその場に立ち尽くす










やっぱり、戻ろう…





割って入る勇気も持てず、アモーレに戻ろうと踵を返そうとしたその時だった












私は、信じ難い光景を目にしてしまう







それは夢でも




見間違いでもない







嘘のような現実










今、目の前の2人の唇は確かに重なり合ってる







恭一さんもそれを拒んではいない









どうして…






もう……何が嘘で何が本当なのか分からなくなっていた






これは、優柔不断な私への罰なのかもしれない





そんな事を頭の片隅で思いながら、私は走り出した








背中から恭一さんの声が聞こえたような気がしたけど、とにかく夢中で走り続けた―――――――……

















bkm



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