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奈生さんの顔がジリジリと近付いてくる







ベッドに呆気なく放り戻された私に、奈生さんは馬乗りになると



素早く両手首を頭上でひとつに纏め上げ、身体の自由を奪った








そうする間にも、確実に2人の距離は縮まっていく








やだ…








唇が触れるその瞬間






私は顔を横に逸らした













ベロッ─────





代わりに、左頬にザラッとした濡れた感触









「なっ、やっ…」





「いいね…堪らないな、その怯えた表情……もっと苛めたくなる…」







奈生さんの唇はそのまま肌を這いながら、ゆっくりと首筋へ下りてくる









───チュッ…チュク……ペロッ……










「いやっ!奈生さ…止めて下さい!!」




体を捩り足をバタつかせ、動かせる全てを必死に動かし抵抗した





「ははっ。そんな抵抗しても無駄だよ。力で俺に敵うわけないだろ?」




「やっ、離して!」




「まったく、美羽ちゃんは困ったちゃんだな。まぁ、抵抗された方が燃えるんだけど、ちょっと邪魔だから縛らせて貰うよ」





薄く笑みを見せると、奈生さんは近くに置いてあったネクタイで私の手首をきつく縛り上げ、ベッドの柵に結び付けた






「――っ、痛っ…」






縛られたところからズキズキと痛み出す












どうにか…



どうにかしてここから逃げ出さないと…







そう思うのに、押さえ付けられた体はビクともしない









「うん、いい眺めだ」




気持ちが高揚しているのか、奈生さんはさっきからずっとご機嫌に笑みを見せている





けれど、怪しく光るその瞳の奥が、一層私の恐怖心を駆り立てた















怖い…





嫌だ…









誰か……
















目の前に迫る抑えようのない恐怖に襲われ、自分を保っていられなくなる









「いやぁぁぁっっーー!!やだっ、恭一さん!!恭一さんっ!!!助けてぇぇ!!!!」









そこにいるはずもない








ましてや来るはずもない







恭一さんの名前を必死に叫んだ









「そんなに各務さんに助けて欲しい?けど、来る訳ないだろう?美羽ちゃんは裏切ったんだから」






「――っ、違っ……」





「男の誘いにホイホイ着いて行く美羽ちゃんにも問題ありだと思うけど?警戒心無さすぎ…」








「……お願い…冗談はもう止めて…」






夢なら醒めて……











「残念だけど、これはリアルだよ」
















!!!



気が遠くなるような絶望感も束の間



逃げられないよう頭を両手で押さえ付けられると、無理矢理唇を押し当てられた






突然の事に息が続かず、酸素を求めて薄く唇を開く



すると、その隙間からヌルッと舌が割って入り、私の舌は絡め取らてしまった








―――チュウ……クチュ…チュパ……







「ンっ、はぁ…や、んんん〜!!!」




奈生さんの舌から逃れようとしても、狭い口内ではすぐに捕まってしまう






何度も何度も角度を変えながら深く私の中を蠢き




どちらのモノか分からない唾液が口の端から零れ落ちた













やだ……やだっ………









恭一さん!









恭一さん!!






















───ガリッ…









「――っ!!痛っ…て」





弾かれるようにパッと私から離れると、奈生さんは唇を手の甲で拭い視線をソコへ落とす







体を動かせない私のせめてもの抵抗












「随分と強気だな。けど、ちょっとお痛が過ぎるよ、美羽ちゃん」





奈生さんは私が着ているミントグリーンのチュニックブラウスに手をかけると



そのまま頭をくぐらせ、縛られている手首まで一気にたくし上げた






「キャァァッ!!」







露にされた二つの膨らみ







「思っていた通り、綺麗だ…」




上半身を撫で回すように奈生さんの掌が滑る








体温のないひんやりとした手は、奈生さんそのものみたいだ









「それに…華奢な割には―――――……」









───ギュッ…








「ひゃぁっ!!」






片方の膨らみを下着の上から強く掴まれた






「いっ…痛……」







「こんなに大きいのは、各務さんのお陰?その童顔な顔と躰がアンバランスで堪らないな…」











今、目の前にいる残酷な笑みを浮かべる奈生さんは、優しさも理性の欠片も持ち合わせていない







ただ、欲情した男の顔をしていた―――――――――……
















bkm



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