01 変化
〜美羽side〜
───ただ…
あなたが好きなだけなのに
それだけなのに…
この想い
伝わらない──────………
それはある日突然だった
「実は、恭一君と長谷部君に行ってもらいたいのよ。」
閉店後
後片付けをしていた私達は、妙子さんにオーナールームへと集められた
近々、オープン予定になっているアモーレ2号店“amato(アマート)”
そのオープニング応援スタッフとして、恭一さんと千秋君が選ばれたのだ
「二人共、どうかしら?オープン準備から手伝ってもらいたいから、出来れば来週から向こうへ行って欲しいんだけど…。
期間は2号店がオープンして落ち着くまでの予定だから、2・3ヶ月ってところかしら!?」
「私は構いません」
「俺も大丈夫です。何気に2号店の方が家から近いし」
妙子さんの言葉に2人は頷いた
「そう!!じゃぁ、決まりね!アモーレの事も考えてバランスよく人選したつもりよ。恭一君と長谷部君なら安心して2号店を任せられるし、美羽ちゃんはキッチンの手伝いが出来るから、こっちに残って欲しいの…」
「その方が俺も助かる。美羽がいるのといないのとでは、ミケーレさんのサボり具合も違ってくるしな」
「それはそうさ♪こんなに可愛らしい女性が側にいたら仕事のしがいもあるってもんだよ!」
妙子さんの言葉に琢磨さんが同意し
ミケーレさんは揚々と冗談混じりに答える
そんな目の前のやりとりが、私にはどこか自分の事ではない様に、ぼんやりと耳から耳へと通り抜けるのだった――――…
恭一さんが移動
じゃぁ、今みたく毎日会えなくなっちゃうんだ…
恭一さんと付き合いだして2ヶ月
仕事とプライベートをきっちり別ける恭一さんは、仕事中は今まで通り厳しかったけれど
2人でいる時にだけ見せてくれる“私しか知らない恭一さん”を私だけが独占しているのだと思うと、それだけで嬉しかった
きっと…仕事とはいえ、毎日恭一さんに会えるっていう今の状況が贅沢すぎなんだよね…
寂しいけど…我慢、我慢!!仕事なんだし…
大丈夫
会える時間は少なくなるけど、まったく会えなくなるわけじゃないんだし…
自分自身にそう言い聞かせ、胸に広がるモヤモヤとした感情を無理矢理奥へ押し込めた
こんな気持ち…
恭一さんの負担になるだけだ
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