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「この前…私に何をしたんですか?」
「……何もしてないよ」
にっこりと笑いながら奈生さんは答えた
「嘘!だって…」
「ん〜…まぁ、確かに眠っている間にキスマークは付けたけど…でも、それだけだよ?」
「どう…して…?そんな事…」
「どうして?まぁ、強いて言うなら、面白そうだったからかな?他の男の印を付けといて、それを各務さんが見つけたら楽しい事になるかな〜!?っていう好奇心?みたいな…まぁ、あんなに上手く行くとは思わなかったけどね」
奈生さんは愉快そうにクククッと笑っている
何がおかしいの?
どうして笑っているの?
「恭一さんの事…それに、キスマーク見られた事なんて私、奈生さんに話してませんよね?」
「ははっ。そんなの分かりやすい美羽ちゃんを見てればすぐに分かるよ」
「どうして…………」
「美羽ちゃんは、さっきから“どうして?”ばっかりだな…―――じゃぁ、美羽ちゃんには特別に教えてあげるよ」
――――それはね?
美羽ちゃんが欲しいから――――――――……
奈生さんの表情に背中がゾクリとした
ベッドに腰をかけた状態のまま体を捻り、左手の指で私の頬をそっとなぞる
「君を一目見た時、欲しいと思った。でも、君には男がいた…別に男がいたって、欲しいモノは手に入れる主義だから関係ないんだけどね…。でも、何だか美羽ちゃんは各務さんに夢中だし…だからちょっとした悪戯?」
「そんな…酷い……奈生さんがそんな人だなんて…」
「思わなかった?でも、本当の俺はこういう男だよ。今までの俺が偽者……どれか本当かなんて、本人にしか分からないだろ!?」
今、目の前にいるこの人が本当の奈生さんだなんて…
悪い夢でも見ているんじゃないだろうか
「こんな事しなくたって、奈生さんなら他に素敵な人、いくらでもいるじゃないですか…」
「あぁ、そうだね。股を開いてくる女なんか腐るほどいるよ。けど、そんな女抱いたってつまらないだろ?なかなか手に入らないレア物を、無理矢理自分のモノにするから面白いんだ」
まるで、ゲームでもするかのように淡々と話す奈生さん
怖い…
震え出した体は止まらなくなっていた
「さて…と、そろそろお喋りも飽きてきたし、頂くとするかな」
そう言った奈生さんは、頬に触れていた左手をそのまま私の髪へ滑り込ませ、顔をゆっくりと近付けてくる
「いやっ!―――っ、うぅ……」
ベッドから起き上がり、その場から逃げようとしたが、身体が思う様に動いてくれない
足元が縺れ、ベッドから落ちる
「逃げようとするなんて、美羽ちゃんはいけない子だね。そういう子はどうなるか、躰に教えてあげないと…」
軽々と私の身体を抱き抱えるとベッドに放り投げられた
「たっぷりとお仕置きが必要みたいだね…」
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