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〜美羽side〜








あの日から5日が経っていた





結局1日だけ妙子さんにお休みをもらい、それからはとにかくガムシャラに働いた







何かをしていないと、あの日の恭一さんを思い出してしまう…





少しでも気を緩めれば、涙が零れ落ちてしまいそうだった












――――ダメダメ!!





どんな時だって、仕事はきちんとしないと…



仕事の事でまで恭一さんを失望させたくない








フルフルと小さく頭を振り、カウンターで洗い物をしていた私は、再び手を動かし始めた












するとそこへ、来客を告げるドアベルが鳴り響く





エントランスには千秋君が行き、お客様を案内してくれた






ふと、その千秋君の方へ視線を向けると、そこにいたのは……








奈生さんだった













洗い物をしていた手が再び止まる










――――やっぱり、このキスマーク…奈生さんしかいないよね?



あの日

何があったのか、ちゃんと確かめないと……





いつまでも、恭一さんとこのままだなんて嫌だ――――――――…














「……美羽さ……だって……」




「……………えっ?!何?」








「5番にホット1つお願い」




ハッと我に返ると、千秋君が私の顔を覗き込むようにしていた





「あっ…ごめん。今、作るから…―――あの、千秋君?5番の珈琲、私が持って行ってもいいかな?」





「え…それはいいけど、大丈夫?」




事情を知っている千秋君は心配そうに顔を曇らせている






「大丈夫。それに…今、話しないと私、いつまでも前に進めない……」












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─────カチャッ…







「大変お待たせ致しました。ホット珈琲になります」





私の声に、奈生さんは顔をゆっくり持ち上げると、横を向いて煙を吐き出しながら煙草を灰皿に揉み消した








「やぁ、美羽ちゃん。今日は居眠りしてないかい!?」





ハハッと笑いながら口に水を含む





「この前は本当に失礼しました。寝てしまった上に、送ってまで頂いて……」





「いや、別に気にしてないよ。美羽ちゃんの貴重な顔が見れて、むしろラッキーだったな」






「あの……そのことで…奈生さんに聞きたい事があるんですが……」




「何?涎を垂らしてなかったか…とか?」







私とは対照的に尚も冗談を言う奈生さん





その明るさが、逆に不自然にも感じられる










「この前…私が寝てしまっていた間に何があったんでしょうか?」






すると、それまでニコニコと笑っていた奈生さんの顔からスッと表情が消えた








「そんなに知りたいの?後悔する事になっても?」





「……はい。教えて下さい」









「フッ…そんなに知りたければ教えてあげるよ。いくらでもね…」











────この時



私を見つめながら含み笑いをする奈生さんの目が、怪しく光っていた事に、私は全く気が付いていなかった――――――――……















bkm



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