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〜美羽side〜
閉店後
後片付けをしていると、誠君が急に大声を上げた
「あーっ!?チーフだーー!久し振りです!!どうっすか2号店は?もー、俺…チーフが居ないと毎日張り合いが出ないっすよ〜」
―――――ドクンッ…
嘘……恭一さん…?
「春原は、私がいる時といない時で仕事に差をつけているのか?」
「えっ…あ…いやっ…そう言うんじゃなくてですね………」
―――ドクン…ドクン…ドクン……
どうしよう………
とにかく、ここから離れなきゃ…
背中越しに恭一さんの気配を感じながらも、私はバックヤードへと急いだ――――――――…
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〜恭一side〜
春原が慌てて弁解する様子を話半分に聞きながら、私はフロアを気にしていた
……いないのか?
辺りを見渡すものの、美羽さんの姿は見当たらない
すると、一通り弁解が終わったのか、春原は別な話をし始めた
「そ〜いや、チーフ。ダメじゃないっすか〜!」
「…何がだ?」
「またまたぁ〜、とぼけちゃって〜!!」
春原が自分の肘をグリグリと押し付けてくる
一体、何の話だと言うのだ…
「まぁ、二人がラブラブなのは知ってますけど…あそこまで見せ付けられると、こっちが恥ずかしくなるっつーか、羨ましいっつーか…」
何を言っているんだ、春原は…?
「私にはさっぱり分からないのだが…?」
「も〜、ココっすよ!ココ!!」
そう言って、痺れを切らした春原がある場所を指差す
春原の冷やかすような態度
指先が示した場所
ふと、1つの考えが浮かび上がった
そんな、まさか……
けれど、春原は見ている…?
「春原、美羽さんはどこにいる?」
「…あれ?おっかしいな〜、さっきまでいたのに…バックヤードかなぁ?」
そんな事ある訳がない
ある訳が…
その言葉をまるで呪文のように唱えながらも、膨らみ続ける疑惑に目を逸らせずにいた……
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