17
〜恭一side〜
久し振りの休日だというのに、私の気分は優れなかった
読みかけになっている本を開いてみるが、内容が全く頭に入ってこない
フゥ……
本を閉じ、壁に掛けられた時計に目をやると、昨夜掛かってきた一本の電話を思い出した――――――……
いつものように夜遅くまで店に残り、売上集計をしていたところへ鳴り響いた店の電話
その相手は詩音さん
受話器を取り、耳に当てると同時に、興奮した様子で一気に話し出した彼女
「恭一さん、大変ですよ!!恭一さんの彼女が、相馬竜司似のイケメンと二人っきりでいるところを見たんです!!!今、男が彼女の腰に手を回しながら行っちゃいましたけど…何だか、これからホテルにでも行くようなラブラブな雰囲気でしたよ?彼女もウットリした顔しちゃって!!彼女も恭一さんがいながら、よく浮気なんかしますよね〜、もー信じらんない!!」
あまりの衝撃に、最後の方は耳に入っていなかった
いや…そんなはずないだろう…
美羽さんに限って有り得ない
見間違いじゃないのか?
そう思いつつも、胸に広がる一抹の不安…
確かに…アマートへ来た日の帰り際、様子が少しおかしかった気もするが…
けれど、その後送ったメールでも、彼女はいつも通りだった
気のせいだと思っていたが…違うのか…?
詩音さんの言葉をそのまま鵜呑みにするつもりもないが、私を不安にさせるには十分だった
考えれば考える程、不安は染みのように広がり、私は居ても立ってもいられず、店の電話から彼女の番号を押していた
けれど、電源が入っていないのか…この日、彼女と連絡が繋がる事はなかった―――――――……
そして、今朝も連絡してみたものの、美羽さんの声を聞く事は出来ない
メールにも何の反応もない…
連絡出来ない何か…があったのか…?
昨夜から胸に広がる不安が徐々に色濃くなり、その想いに支配される
――――確か…今日、美羽さんはシフトに入っていたな…?
私は、閉店時間になったらアモーレへ行く事に決めた
彼女の口から一言「違う」と聞けば、この不安も解消されるだろう
彼女に限って、そんな事
あるはずがないんだ――――――……
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