11 女の素顔
私の名前は“鳴海詩音(ナルミ シオン)”
Cafe amato(アマート)の美人スタッフ
自分で美人って言ってるって?
だって、事実ですもの♪
あ、ちなみにamatoは、【愛する人、恋人】って意味なのよ?知ってた?
もう1つ、ついでに言うと1号店amore(アモーレ)は、【愛、恋愛、愛する人】って意味があるらしいわ
私のお陰で、あなたも少し賢くなったわね☆
えっ!?
どうして、私みたいな容姿端麗、頭脳明晰な自他共に認めるいい女がこんなカフェで働いているか…って?
―――――それはね…
“彼”を見つけたから…
───その当時─
私は、某有名スポーツ用品メーカーの本社に勤務していた
新商品の提案、企画から開発まで…
バリバリ仕事をこなす、いわゆるキャリアウーマン
そんな私は、社内では羨望の眼差しで見られ、群がって来る男の数も山のようにいた
でも、私が相手をしてあげるのはイケメン限定!
私くらいになると、その辺の石ころじゃ釣り合いが取れないでしょ?
そして、その頃は
社内でも有名なイケメンと呼ばれていた(私から言わせれば大した事ないけど…)同じ部署の部長(45)と不倫関係にあった
もちろん遊びよ?
ちょっと、付き合ってあげただけ
ところが、ひょんな事がきっかけで社内の人間に不倫がバレ、体裁が悪くなったあいつは
こともあろうか私を、暗〜い地下にある倉庫管理課へ飛ばしたのよ!
作業服なんか着るの嫌よっ!!
ケチだし、Hは下手だし…あんな男、どうでもいいのは当然として
この仕事にも未練なんかなかったから、すぐに辞表を出してやったわ!
その後
会社を辞めた私は、気晴らしにショッピングに出掛けたの
そこで、人が賑わう大通りを一本入ったところの路地の一角にある、一軒の店が目に止まった
シックな外観の素敵なお店
amato…?
まだ、オープンはしてないけどカフェみたいね…
そして、中の様子を伺おうと、ガラス窓からそっと中を覗き見た時…
“彼”を見つけた
窓から日差しが差し込み、色素の薄そうなサラサラの髪がキラキラ輝いていて、なだかとても幻想的に見えた
やだっ、すっごくイケメン///
こんなイケメン見た事ないわ!
暫く、彼に見とれていた私がふと隣に視線を移すと、そこには【スタッフ急募】の張り紙
私は、迷わずココで働く事を決めた
なのに…
恭一さんときたら、私の“男を落とすマル秘テク”や“悩殺セクシーポーズ”を駆使しても、まったく手応えがない…
どうして?
これで落ちなかった男なんていないのに…
もしかしてホモとか?
有り得るわね…
男なんて、単純で馬鹿な生き物なはずなのに、この男は一筋縄じゃいかない
フッ…上等だわ!!
手強い相手ほど燃えるってもんよ!!!
絶対、絶対!!
私のモノにしてやるんだから!!!
覚悟しなさいよ!!
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