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千秋君にはあぁ言ったけど、せめて顔ぐらいは見たいな…










「大変、お待たせ致しました。モカでございます。お熱くなっておりますので、お気を付けてお召し上がり下さいませ」







頬杖をつきながら外の景色を眺めボーっとしていた私は、視線は窓の外へ向けたまま



「あぁ…ありがとうございます」





届けられた珈琲に、気の抜けた返事をした













「……美羽さん、私の声も忘れてしまいましたか?」







えっ!?







それは聞き慣れた大好きな人の声








「きょっ、恭一さんっ!?」








勢いよく振り向くと
いつものように目を細めて微笑む恭一さんの姿があった









「久しぶりですね?元気でしたか?」








何でもないそのたった一言に、胸の奥がキュウっと締め付けられ、涙がジワッと込み上げてくる










「…はい。お仕事忙しいのに、勝手に来ちゃってごめんなさい…」







「そうですね…本来ならば、仕事とプライベートはきっちり分けたいところですが……どうやら私は、美羽さんには甘いようです」







恭一さんが
親指で私の涙をそっと拭ってくれる










「今日も遅くなりそうなので、送っては行けませんが、帰り道には十分気を付けて帰るんですよ?それから……来てくれて嬉しかったです///――――では、ごゆっくり…」










恭一さん、顔が少し赤かった?








ふふっ…///












照れながら戻って行く恭一さんの背中を見つめながら、今まで沈んでいた気持ちがジワジワと満たされていくのを感じたのだった―――――……





















もうそろそろ、出た方がいいよね?
珈琲も全部飲んじゃったし…長居してたら、恭一さんにも迷惑かけちゃうしね…









帰り難くて、いつまでも席を立てなかった私は、ようやく隣の椅子に置いてあった自分のバックを引き寄せた






財布を取り出しながらフロアを見渡し、恭一さんを探す















あっ、いた!











けれど、その時


瞳が恭一さんを捉えたのと同時に、視界にもう1人映した
















―――――ドクンッ…















瞳が映した先には、さっき席へ案内してくれた美人のスタッフが、恭一さんの左腕に自分の右腕を絡ませて、胸を押し付けるようにしている姿










目線は私を捉えながら…

















恭一さんは驚いた顔を見せ、バッと腕を振りほどいていたが…








私は気が付いてしまった――――――…

















あの人…恭一さんが好きなんだ…


















bkm



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