○○の作り方(1/7P)
───ギシッ…ギシッ…
「―――フッ……グッ…ハァ…」
「あっ、やぁ…竜司さ……止めっ…」
「クッ……ン?―――どうした?美羽」
「やだぁぁぁーーーーっ!!!竜司さん、また筋トレしてる!!!ヽ(`д´)ノ」
恒例になりつつある彼女の言葉に、切りがいいところでベンチプレスのバーベルを元の位置に戻し、体を起こす
「美羽、来てたのか!?もう少し遅くなると思ってたよ」
ここは自宅のトレーニングルーム
久し振りにうちに来る事になっていた美羽を、毎日の習慣であるトレーニングをしながら待っていたというわけだ
「もぉ〜そんなことより、竜司さん!!そんなに、いつもいつも筋トレしないでって言ってるでしょ!?」
美羽は、俺が筋トレをすると怒り出す
何て可愛い奴なんだ
本当は、好きな癖に…
こういうのを、今流行りの“ツンデレ”って言うんだろうな
「ははっ。ほら…いいだろ?この胸筋。ここの、このラインが絶妙で…」
俺は着ていた黒のタンクトップを脱ぎ、自慢の胸筋をピクピクッと動かしてみせる
「も〜、やだぁ〜!気持ち悪い!!(/д\)早く、しまって!!」
はははっ
本当に素直じゃないなー、美羽は
「私は、細マッチョが好きなんです!ゴリマッチョは嫌いなのー!!」
……………(゜-゜)?
ゴリマッチョ?
細マッチョ?
なっ…今時のマッチョには、種類があるのか!?Σ(゚□゚;)
何て事だ!!!
ただ、鍛えればいいってモノじゃないのか!?
し、しかし、俺からこの筋肉を取ったら何が残ると言うんだ!
これから、世界の筋肉アクション俳優のポジションを狙おうと目論んで、密かにトレーニングの量を増やしていたのに…
精○みたいで苦手なプロテインも頑張って飲んでいたというのに……
マッチョに種類があったなんて…orz
ん!?
―――と言う事は…?
これまで、美羽が嫌がっていたのは…“ツンデレ”ではなく本心―――――――…………
( 」´0`)」
ななな、何て事だ!!
そっちの方が死活問題だ!!!
7つも下の年若い彼女を繋ぎ止めておくには、アッチの方を充実させて俺に夢中にさせとく必要がある
難易度の高い技を修得する事で、美羽も喜んでくれる
筋肉をより一層付ける事で、俺たちの関係も深まって相乗効果だと思っていたのに…
そう信じて疑わなかったのに――――――………
これじゃ、元も子もないじゃないか!
ダダダ、ダメだ!!
美羽が、俺の前からいなくなるなんて
そうなったら、俺の人生は腐ったみかんと一緒だ!
よし!!今日から俺は細マッチョを目指すぞ!!
世界の筋肉アクション俳優は、この際どうでもいい
俺は、美羽が一番大事だ!
それなら、まずは…
――――カタッ…カタカタカタ…カタッ…
「も〜!竜司さん!!私の話聞いてます!?ヽ(`д´)ノ」
彼女の声も耳に届かず、俺は一心不乱にキーボードを叩き続けた
*
───その日
【相馬竜司オフィシャルブログ】には…
「細マッチョの作り方、求む!〜これからの輝かしい未来へのステップ〜」
───こんなタイトルの日記がアップされていたそうな…
相馬竜司
細マッチョへの道は果てしなく遠い
-fin-
top