終わらない奇跡(1/1P)
「ハァ、ハァ…遅なってスマン…ハァ…美羽ちゃん、誕生日おめでとう!」
開けた玄関の先には、息を切らして汗をかいた…でも、笑顔全開の慎之介さん
そして、後ろ手から差し出された沢山の真っ赤な薔薇の花束
「美羽ちゃん、俺の燃えるような真っ赤な情熱を君に………うわ、あっかん///自分で言うといて恥ずかしくなってもうた///」
「ふふふっ。ありがとうございます///でも、今日、慎之介さん仕事で無理だって…」
「そやったんやけど、美羽ちゃんの為にハイパー慎ちゃんに変身して、ちゃっちゃっと終わらせて来たんよ」
慎之介さんは、仮面ライダー(?)のような不思議な変身ポーズをして見せる
その姿が余りにも可愛くって、思わず吹き出してしまった
「あっ!笑ろうたな!?そんな美羽ちゃんには、プレゼントはやらん!!」
「えっ!?ウソウソ!!ごめんなさい。何?何?教えて、慎之介さん」
上目使いでねだる様に言ってみたけれど、慎之介さんはそっぽを向いて頬をプクッと膨らませている
「ん、もぉ〜。じゃぁ、これで機嫌直して?」
―――――チュッ…
慎之介さんの唇にキスをした
「………(〃∀〃)」
「機嫌直った?」
「うん(*≧∀≦*)直った!!」
こういうとこ、ホント子供みたいで可愛い///
「あんな?実は…花束はオマケみたいなもんで、本当のプレゼントはな………コショコショコショコショ………」
耳元に手を当て小さな声で囁いた慎之介さんの言葉に、思わず叫びそうになる程驚いた
だってそれは、ホントにビックリなサプライズだったから………
◇◇◇
「え?ええっ!?ちょ、それ、どういう事ですか?明日から5日間もオフだなんて!山田さんだって、明日は朝早くから仕事だって言って…」
「ははっ。めっちゃ驚いた?あんな、実は…サプライズで何かしたくてな?山田さん、拝み倒して無理矢理オフ作ってもろたんや!みんなにも協力してもらってな♪」
「慎之介さん…」
「ほんまは、誕生日当日の今日からオフにしたかってんけど、俺の方がどうしても都合つかんくて…堪忍な」
「えっ…じゃぁ、慎之介さんも?」
「そや!俺も明日から5日間オフ!!ほんで、このオフを使って“バースデーフィジー旅行”に行きま〜す♪」
「ええーーっ!!フィジー…って外国の!?」
さっきから慎之介さんに驚かされてばかりで、思考がついていかない
「他にどこがあんねん(笑)5月やと雨期が終わってベストシーズンやし、水上コテージに泊まったり、ダイビングとかも出来るし。美羽ちゃんとめっちゃ楽しい思い出作りたいねん♪それから、いちゃいちゃもしたいしな///」
最後の方が、ごにょごにょと小声になっていって、珍しく照れた顔を見せる
慎之介さんの気持ちが…
山田さんの気持ちが…
オフを作ろうと動いてくれた皆の気持ちが……
嬉しくて
嬉しくて………
私は、こんなに色んな人の愛に恵まれているんだな
「ありがとう。慎之介さん………大好きっ(>_<。)」
「ははっ。泣くほど喜んでもらえて良かったわ♪
で……オフ作る為にめっちゃ働いたから、俺、美羽ちゃん不足で死にそうやねんけど…ギュッとしてもええ?」
「ふふっ。ギュッもいいけど、いちゃいちゃもしたいな///」
「(〃∀〃)美羽ちゃん…そないな事言うと、寝不足で飛行機乗れなくなるかもしれんよ?」
「それは困ります…――――じゃぁ、今日は程々に…ね?」
「う〜ん…残念やけど、そうした方が良さそうやな」
日付が変わったら、年に一度の私の誕生日は終わってしまうけれど
慎之介さんがくれた
とっておきの奇跡
私の誕生日は、まだまだ終わらない―――――――……
-fin-
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