手紙:松田
(3/5P)





その封筒を開くと、中には可愛らしい1枚の便箋が入っとった











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二度と帰ってくんな!!




隆実のドアホ!!!







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行線なんか全く無視したドでかい乱雑な字






でもそれは、俺がよく知っとる字








――――こんな、へったくそな字書くの美羽しかおらへんやん…







今頃何やねん、アイツ…







しかも、何や嫌がらせか?













けど…


美羽とはあんな終わり方やったけど、不思議と嫌いにはなれんくて…





この手紙も、アイツらしゅうて…何や嬉しかったんや―――――…






















待ち合わせの時間よりも大分早く駅に着くと、もうそこには慎がおった







「えらい早いな。槍でも降って来るんとちゃうん?」



「隆やん…朝会ぅて、一言目がそれかいな!?酷いやっちゃな〜。俺だって、たまには………」




ブツブツ言いよる慎の座っとるベンチに並んで、俺も腰を掛ける










その後は、お互い話もせんと、ただ黙って慌ただしく通り過ぎる人々の波を暫く眺めとった










「……なぁ、隆やん?」




「……ん?何や?」





突然、口を開いたと思えば、いつもはヘラヘラしとる慎が真剣な顔付きで話をし始めた







「……あんな?実は昨日…河原で、偶然美羽ちゃん見かけたんや。………美羽ちゃん…泣いとったで…」





「えっ…」






「そしてこれは、俺の勝手な憶測やねんけど……美羽ちゃんがあないな酷い事言ぅたんは、隆やんの為とちゃうん?隆やんが、東京で何も心配せんと思いっ切り出来るように…送り出す為にしたんとちゃうんかな?でなきゃ、あないな切ない顔……」





「はっ…まさか…そないな事する健気な女とちゃうやろ?いっつもバカ正直で、真っ直ぐで……思ぅとる事は何でも喋ってしまうような女やで?」






「そやけど……ホントの本音は言えへんかったんとちゃうん?……ほんまに、このままでえぇんか?隆やん…」





「えぇもなにも、もう終わった事やろ」





「…でも…隆やん……」





「ほんま、しつこいで、慎!!もうこの話は、これでしまいや」






揺れる気持ちを隠すように乱暴に上着のポケットに手を突っ込んだら、クシャッと何か潰れる音がした









手紙か…













―――――あ…










―――っ…アホ!!
何で俺、大事な事気付かへんねん!!











「慎、悪い!ちょぉ、美羽んとこ行って来るわ!!!時間までには戻るさかい!」







ある事に気付いた俺は、荷物も慎も置き去りにして、全力で美羽の家に向かって走り出した―――――――………









そや…この手紙に書いてあったんは、美羽からの最後のあるメッセージ


















bkm




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