手紙:松田
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「なぁ、美羽…何で話しようとせんの?何で大事な事から逃げるん?俺ら二人の事やろ…?」






すると、ピタリと足を止め、振り返ることもなく無言のまま立ち尽くす美羽






俺はさらに言葉を続ける









「―――俺は、お前の事めっちゃ大事に思ぉとるし、これからだってずっと一緒におりたいと思ぉとる。もし、美羽が東京に来たいっちゅーなら、一緒に住めばえぇ……いや、むしろ俺の方が離れたくないねん。芸人なんて、売れるまではホンマ貧乏やし、苦労ばっかかけると思うけど、俺に付いてきてくれへんか?」









俺からのプロポーズににも似た言葉









ずっと、ずっと伝えたかった言葉…









けど、怖くて言えへんかった言葉……






















「……………へ…ん……」








「はっ?」
















「…………行かへん……」










「え、ちょぉ…あっ、やっぱ、母1人子1人やもんな?お袋さん置いては行けへんよな…じゃぁ、大変やけど遠距離……」










「遠距離もせぇへん!!!」








俺の言葉が言い終わるより早く、乱暴に言い放つ










美羽はゆっくりと振り向いた









「何か、隆実…勘違いしとらん?私は、ついて行く気も、遠距離する気もあらへんよ…。隆実が上京したら、それで私達の関係は終わりや。ついて行って、売れるかどうかも分からん芸人と一緒に暮らして、貧乏な思いするんも嫌やし、ましてや…ここで、いつまで待てばいいのか分からん人を、ずっと待っとるんも、真っ平ごめんや!!!私は楽しい恋愛がしたいねん…」











「………何や……それ?………」










信じられへんかった











こんな奴だとは思わへんかった













けど、美羽がゆぅた言葉は現実で……










それから、何をゆぅても、どう聞いても、美羽の気持ちが変わる事はあらへんかった――――――……


























この日境に、俺らは目を合わす事さえしなくなった










別れの台詞は無かったけれど、あないな事言われてしもたら別れたも同然やった

































────そして、月日は流れ、上京する日の朝───












その日は、雲一つないめっちゃえぇ天気で、何や…俺の門出を祝ってくれとるみたいやった












出発前に荷物の最終確認をしとると、オカンが一通の手紙を渡してきよった








「何やねん、これ?あ…今日、旅立つ愛しの息子にラブレターやな!?」






「ちゃうわ、アホ!!居なくなって逆に清々するわ!…それよりも、これ…郵便受けに入ってたんよ…差出人は書いてへんし、切手も貼られてへんから、直接ポストに入れてったんやと思うけど…アンタ宛になっとる」










“…それよりも”って俺はどうでもえぇんか?
コラッ!!ヽ(*`д´)ノ








ブツブツ文句を言いながら受け取ったのは、淡いオレンジ色の封筒












何や、これ…?












俺は、ゆっくりとその手紙を開いた―――――――……
















bkm




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