私が彼を好きな理由(わけ)(6/7P)
それから、どこかまだ信じられない気持ちを抱えながらも
さっきの意外な一面を見たせいか、緊張も大分和らぎベッドシーンに臨む事が出来た
監督さんと綿密な打ち合わせが行われ、カメリハ、ランスルーと進んでいく
けれど
何故か…その間ずっと、竜司さんは目を合わせてくれなかった
どうしたんだろ?
心なしか顔もいつもより赤い気がする
手も微かに震えているような…
あっ!
もしかして……緊張…してるのかな?
でも、相馬さんが?
「おいおい、竜司君、大丈夫かい?本番は頼むよ」
同じ事を思ったのか、そんな竜司さんに監督さんからも指示が入る
すっごい汗が吹き出てるけど…あんな状態で大丈夫なのかな…
そう思い、別な意味で不安になりながら臨んだ本番
そんな心配も無意味なくらい
目の前の彼は、完全に役になりきっていた
それまでの竜司さんは、どこにもいなかった
無事、一発OKとなったこのシーン
俳優、相馬竜司の実力をまざまざと見せ付けられたのは勿論だけど
当然、モテるだろうし、女の子には何不自由していなそうな彼が震える程、照れていた…という意外な一面に、また私の中の彼の印象が変わったのだった
そして、決定的だったのがあの出来事
次の現場へ移動する為に、山田さんがテレビ局の玄関前へ回してくれた車に乗り込もうとした時の事
どこからか竜司さんと猫…?の鳴き声が聞こえた
辺りをよく見てみると、局の脇にある細い路地で、竜司さんは子猫とじゃれて遊んでいた
「そうにゃんでちゅか〜。捨てられちゃったんでしゅね〜、可哀想に…(´∀`)」
Σ(゚□゚*)
猫ちゃん言葉を話しながら、子猫にスリスリする竜司さん
その瞬間………
私の中に稲妻が落ちた
かっ…可愛い……可愛すぎるっ…(〃∀〃)
竜司さんの、その容姿からはとても考えられぬギャップに、私は腰砕けになったのだ……
◇◇◇
「と…そんな事があって、それからは、私が竜司さんに猛アタックを仕掛けて、竜司さんから告白してくれるように仕向けたの♪」
「仕向けたって……美羽ちゃん、凄いな…」
「あはは…。でも京介君だってそういうの得意でしょ?」
「ふっ、まぁね♪」
「あっ…と、私、そろそろ行かなきゃ!ごめんね、京介君。今度、お邪魔したお詫びさせてね。彼女も一緒に!」
◇◇◇
―――えっと、昔の回想が長くなっちゃって(笑)京介君に全部話せなかったけど
京介君家でもそうだったように、竜司さんは時々(?)空気が読めないし…
酒癖も悪いし…
それに、筋肉バカ!!
でもね?
皆は「どうして?」って聞くけど、いいところもいっぱいあるんだよ?
バカみたいに一途で
バカみたいに真っ直ぐで
バカみたいに何事にも全力投球で
そのせいで、周りが見えなくなる事もあるけれど、その純粋さが竜司さんのいいところだと思う
私はバカな男が好きみたい
それに…
何よりも私を一番大事にしてくれるんだよ
私を喜ばせようとして、空回りしたり
その必死な姿が堪らなく可愛い
そんな竜司さんが私は大好きなんだよ―――――…………
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