私が彼を好きな理由(わけ)
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私が地方ロケから戻った次の日




テレビ局の廊下で偶然、京介君に会った






そこで、京介君の彼女の誕生日会での竜司さんの失態を一部始終聞いた







「もぉ〜、本当にごめんね、京介君…。後でちゃんと叱っておくから…」




「いや、美羽ちゃんが謝る事ないよ。それに、相馬さんだって悪気があった訳じゃないんだし…」



「悪気がないから、余計がタチが悪いんだよ〜」



「う〜ん……まぁ、相馬さんもだいぶ酔ってたし、美羽ちゃんが居なくて寂しかったみたいだから…あまり、叱らないであげて?」




「京介君…」




「それに、あの後、俺の必殺テクで挽回したから大丈夫♪」




「やだぁ〜、盛り上がっちゃったんだ(≧∀≦)ノシ」




「ちょ…痛いよ、美羽ちゃん」




「あっ、ごめん///やだ…つい、私ったら、興奮しちゃって…。これだから、オバサン臭いだなんて、まーくんに言われるのよね」





「あのさ…一度聞いてみたかったんだけど……美羽ちゃんは、相馬さんのどこが好きなの?」





京介君は恐る恐るといった感じで私に尋ねてきた





「あはは!!それ、よく聞かれる(笑)」



「あ、やっぱり!…って、ごめん。失礼だよね、こんな事…」




「ううん、全然!慣れっこだし。慣れっこもどうか…って話だけどね(笑)う〜んとね……一言で言うとギャップかな!?」




「ギャップ…?」





「うん。あのね――――――――………」
























◇◇◇





私が竜司さんと初めて出会ったのは、新しく決まった連続ドラマの顔合わせの時だった





その時、既に実力派俳優として売れっ子だった竜司さんの事は勿論知っていたし、彼の作品もこれまでに沢山見ていた






だから、竜司さんと共演出来るって聞いた時は、嬉しくて嬉しくて夜も眠れないくらい興奮してたんだ



余りの喜びように、山田さんには必殺技の『手帳角叩き』を連続で浴びたくらいだし…






そのくらい期待していた竜司さんとの初対面の衝撃は、今でもよく覚えてる









ほんのり焼けた小麦色の肌




笑うと覗く白い歯





落ち着いた低い声





歳にそぐわぬ渋さ






そして、爽やかさ







そりゃもう、例えられないくらい一流のオーラがバシバシと漂っていて



私なんかとは違う、異世界の大人の男性




近寄っちゃいけない神のような人









――――これが、それまでの彼のイメージ、第一印象だった…















ドラマの撮影がクランクインしてからは、挨拶や演技の話をする事はあっても、やっぱり彼にはどことなく近寄りがたい大人の雰囲気があって、それ以上踏み込む事が出来ずにいた







そんな状態が続き、撮影も終盤に差し掛かったある日




その日は、私と竜司さんのベッドシーンが予定されていた



それまですれ違っていた2人がようやく結ばれる大事なシーン




濃厚な濡れ場が要求される






キスシーンは何度か経験があるものの、ベッドシーンは初めてだった私



しかも、相手はあの相馬竜司





緊張しないはずがない






どうにかして、その押し潰されそうな緊張を解きほぐそうと


撮影が始まる前、私は自販機へと向かった






そして、その途中…


たまたま通り掛かった竜司さんの楽屋の扉が半分程、開いている事に気が付いた




いけないと思いつつも、何となく中が気になって、そぉーっと様子を伺ってみる






すると、そこには――――――………
















その手が見えない程の凄まじいスピードで歯を磨いている竜司さんの姿があった






私は目を疑った







そしてさらに、マネージャーさんに息を吹きかけ、臭くないかチェックさせていた






信じられない





あの相馬さんが…
















……ププッ…相馬さんてこんな事するんだ……








それまでの【相馬竜司】の印象が180度変わった瞬間だった















bkm




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