四人の男女がナニカを囲んでいる。
それを掻き分けると、女が仰向けで死んでいた。いや、腹にナイフが刺さっているから殺されたの方が正しいか。
 カーペットに付いている血がこびり付いているのを見ると、犯行は今さっきと言う訳ではないらしい。俺はそんな事を考えていた。
 「ごめんくださーい」どうやら来客らしい。それにしても、呆れるほどのんきな声だ。
 扉を開けると、皺だらけの着物にヨレヨレの袴を合わせ、形の崩れた帽子被った、どこかの小説に出てきそうな、というか、そのまんまな青年が立っていた。 
 「いやぁ、突然雨に振られちゃいまして。すみませんが、雨が止むまで雨宿りさせては下さいませんか。」申し訳なさそうに青年が言った。
 よく見ると、青年の肩は少し雨に濡れていた。どうやら嘘を言ってる訳ではないらしい。
 だが、こちらの状況は全くよろしくない。
 「そうしてあげたいのは山々なのですが、生憎殺人事件が起こってしまいまして…」男の一人が言った。
 「ほぉ、そんな事が!ですか、心配はありません。この名探偵のほほーん☆がスッキリ事件を解決して見せましょう!」そう高らかに決めポーズまで付けて宣言する探偵を頼もしそうに見上げるほかの面々。
 何なんだよ、その名前は。しかも、自分で【名探偵】って名乗るのかよ。てか、何で決めポーズまで取ったんだ。と思わず突っ込みたくなるのをぐっと我慢した。
 こんな所で声を出したら後々自分が不利になる。今目を付けられたら、その後の行動全てをマークされてしまう。
 俺は気持ちを切り替えるため深呼吸をしてから、探偵の言葉に意識を集中させた。
 「さて、皆さんがこの部屋に入るまでこの部屋には鍵が掛かっていた、と言っていましたが、本当ですか?」
 探偵は死体のそばをクルクル周りながら訊いた。
 「えぇ、そうですわ。私が鍵を開けましたから。」とまだショック受けている様子の女が男に支えられながら言った。 
 「ふむ、成るほど…。やはりこの事件は、密室殺人です。そうすると、犯人はこの中に居る!!」探偵は容疑者となったこの場の全員を見回して言った。 
 「冗談じゃねぇ。何だよこの茶番は!人が黙って見てるのをいい気によぉ、大体なんだよ!のほほーん☆って?最後の☆マークいるか??いらねぇだろ!しかも、こいつの風貌まんまパクりじゃん。良いのかよそれで?!どうかしてるぜ、マジで!!」俺は思わず叫んでしまっていた。 
 まずい、やっちまった…
 「違うんだ!」弁解しようとしても、時すでに遅し。
 
 
 
 
 
 「和也!また五月蝿くして、テレビ切るからね!!」
                      
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