「ねぇ、あなた。ちょっといい話があるんだ:けど」
「おー?なんだ?」
そういう会話をし、2人で笑みを浮かべた。思いっ切り悪意のある笑みを。
さぁ、次は誰を“カモ”にしようかしら。

僕は彼女が好きだ。でもその想いは届かないと思ってた。だけど、
「私、あなたが好きなの。付き合って?」
「えっ!?」
僕はびっくりして持っていた荷物を落としてしまいそうになった。
信じられない、彼女が僕を好きだったなんて。
僕は即刻OKを出した。とっても嬉しかったからだ。
なのに……

「判決を言い渡す」
こんな事に、なるなんて。
彼女は最初からこれを仕組んで居たんだ。
僕を、犯罪者にする事を。でも。
僕は誰にも気づかれないようにニヤリと笑った。
だってこの裁判で僕の勝ちは確定している事だから。
僕は事の始まる前に予め盗聴器を用意していてその夫婦の会話を盗聴・録音しておいたからだ。
さよなら、僕の初恋。そう思いながら僕は法廷を後にした。

「お疲れ様でした。辛かったでしょう。でも、もう終わりましたよ」
裁判が終わると、僕に優しく声をかけてくれたのは弁護士の……誰だったかな。忘れてしまった。
「ありがとうございました。お陰で助かりました。あの、失礼ですがお名前って……」
おずおずと問いかけた。すると、彼女は一瞬ハッとしたが、すぐに笑顔に戻りこう言った。
「私の名前は……楠木心羽と申します」
名前を聞いた時、どことなく暖かい風が吹いてきたようだった。
彼女から何となく惹かれる雰囲気を感じ取った。
もう一度やり直そう。僕の、恋を。そして、人生を。
prev next
back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -