Lv1 重曹 (花澤美紅)

「ふぅ、こんなもんかな……」

俺は南雲、職業は掃除のお兄さんだお☆
……まぁ自己紹介はいいとして、今は仕事(掃除)を終えた所なのだ。
そして、掃除道具入れに手を掛けた時、

「ん?なんだこれ?」

掃除道具入れに大きな穴が空いていたのだ。穴と言うよりブラックホールに近いような……
気になったから、そこに手を伸ばした瞬間、すごい力に引っ張られそこに引きずり込まれてしまった!

「……!」

俺は声も出せず、抗おうとしても全く意味がなく、そのまま完全にその穴に引きずり込まれた。


どれぐらいたっただろうか、俺が目を覚ますとそこには……

「な、なんだここ……?異世界?……か?」

そこには城下町の様なレトロな町と、遠くの方にお城が見えた。ちなみに俺が今立ってる所は……崖である。

「なんで崖!?て言うか、何ここ!?」

俺は混乱していた。まぁ無理ないか。だって、仕事中に突然異世界(仮)にトリップしたんだぞ?これで自分の状況を分かれと言う方が無理な話だ。


とりあえず、この町を彷徨いて見ようと思い、くるりと向きを変えた時、

「あっははは。そりゃ戸惑うよねぇ。突然招かれたんだもん。あはは、お腹痛い」

すっっっごく、ムカつく嘲笑が聞こえてきた。誰がこの言葉を発しているのか知りたいと思った。だが、辺りを見回しても誰も居ない。空耳だったんだろうか。……空耳だったらどんなにいいか。その願望を打ち消す次の言葉が聞こえてきた。

「ここにいるよぉ。ふふ、ここだってばぁ。……もう……上だよ、上」

上を見上げて見ると……小学生ぐらいの小さな女の子が笑いながら、どこか悲しそうな表情で宙を浮いていたのだ。

「あはは、やっと気づいたぁ。『人間』って思ったより馬鹿なんだね。ふふふ、あー、面白い」

こいつすっげー笑ってやがる。こいつの嗤いは苦手だ。
えー……っと、ツッコミ所が満載すぎて何がなんだか分からないが……

「は?人間って言った?じゃあ、お前は何なんだよ」

俺はその部分が気になったので聞いてみた。
すると、

「んー……人間の監視役?つまり……神様?かな

その神様が照れ笑った。
て言うか、か、神様……だと?神様って案外……ぶっ飛んでるなぁ……こんな奴が多いのか?
自称神様はこんな事も言った。

「君は酷く混乱しているね。私が全てを教えてやろう。まず、ここに君を連れてきた張本人は私だ」

「!?!?」

突然の神様の告白に戸惑う俺氏。俺は混乱しながらも自分の疑問を神様に投げ掛けた。

「神様……なんで俺をここに呼び出したんだ?なんの目的でここに呼んだ?て言うか、そもそもなんで俺なんだよ」

神様は俺に質問攻めをされて、すごく嫌そうな顔をした。

「んー……もう、そんなに次々と質問しないでよぉ。全部答えるって言ったのにぃ。えっとぉ、とりあえず、君をここに呼んだのはこの世界の異世界人である君がこの世界で生きていけるか試してみたかったからなんだよぉ。別に『君』じゃなくても異世界人なら誰でも良かったけどねぇ。なんで君を呼び出したかはぁ……弱そうだったから……かな

神様は嗤わずに答えてくれた。
よわ……そう、だと?しかも最後のハートも含めてなんかムカつくな。
神様から見れば人間って誰でも弱そうに見えるんじゃないのか?違うのか??

「とりあえず、お前の事情は分かった。んで、ここは一体どこなんだ?」

これは普通の人なら最初にする質問だろうと思う。だが、俺は混乱してた故に今更こんな質問をしてしまった。

「ここは君たちの世界で言うRPGみたいな世界だよぉ。剣と魔法の世界なんだぁ」

それでも神様は嗤わずに、先ほどと同じような真剣な顔で答えてくれた。言い方はすっごくムカつくが。
もし、こいつと仲良くなれと言われても多分無理だ。一生無理。いや、生まれ変わっても無理だと思う。
て言うか、RPGだと?闘わなきゃか?でも闘って負けたら死……

「大丈夫。安心しなよ……この世界では誰も『死なない』から。なんたってこの世界は、ロールプレイングゲーム。すなわち、ゲームなんだよ!ゲームで出来てる世界なんだ!楽しく生こうよ!!」

俺の思考を読み取ったのか、頭上から大きな声が響き渡る。しかも、前のようなぶりっ子口調が無くなっている。
うるさい。とてもうるさい。だが、不思議と心が休まった気がする。こいつに元気を貰ったのは癪だが。

「あ、でも、この世界は君の元いた世界と違う所がある。とても重要だと思うから言っとくね。この世界では君の元いた世界の文字、言語、文化……あらゆるものが一切通用しないよ?覚悟しておくといいよ」

と、神様は言った。
そういう事はあらかじめ説明しておいてくれよ。なんで今なんだよ。そう思ったが、口に出すのをやめた。こいつには常識が通じないと思ったから。

「あ、そろそろ帰らなきゃ。じゃあね、また会えることを期待しているよ。そう……遠くないうちに」

そう言い残し、手を振ると消えていった。
1人取り残された俺は……

「何あいつ……なんか、自分の言いたいことしか言ってなかった気が……。自分勝手な奴」

いつの間にかそんな言葉を吐き出していた。
だけど、本当に不思議な事に、自分は笑っていたのだ。
また、笑顔を取り戻す事が出来たのか……
ふん。やってやろうじゃないか、異世界生活。それがお望みなんだろ?神様よぉ。

文字も言語も文化も何もかも通じないこの世界。さぁ……神様が創ったこの世界(ゲーム)、生きていく(プレイする)は俺を主人公にした俺の番の……

「ゲームを……始めるとするか!」

……To be continued

back




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -