魔族の王。人族の王。天族の王。
ミレイアには世界に君臨する三人の王がいた。
それぞれが力、心、秩序を司る使命を持ち、世界の均衡を護る為に存在する。それが王という名を持つ者の役割であった。
――それは、例えるならば歯車に近いだろう。
ミレイアの深部を担う三つの歯車。一寸の狂いもなく計算されて綺麗に噛み合う歯車は永久に回り続け止まることはない。
しかし、もしも一つでも失ってしまえば。壊れてしまうのなら。
全ての歯車は動きを止めて、王が機能しなくなったミレイアはじわりじわりと破綻の道のりを歩むだろう。
ほら、今だって。
ゆっくり、ゆっくりと。
世界の壊れる音がする。
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