――― 今日の私は気合もイン○ルも入ってます!だって今日はハロウィンだから! 「お前がー、ほしいー。お前がー、ほしいー」 闇の剣(もどき)を振り回しながら彼のいる洞窟へと足を踏み入れる。さて、ターゲットのシェゾ・ウィグィィはどこにいる? 「シェゾー!トリック・オア・トリートなんだぞー!」 どうにも暗くて視界が広がらない。目をぱちぱちと瞬かせながらなんとか闇に目を慣らそうとするが、そう簡単にはいかない。シェゾはよくこんなところを住居にできるよな…… 「トリック・オア・トリートだと?」 すると、聞き慣れた声が目の前だか背後だかから耳に入ってきた。 「生憎だがお菓子なんて用意していな…いッ!?」 ようやく目が慣れた頃、シェゾの姿が見えた。そのお目当ての人物は私を見て目を見開いていた。 「な、なんだその格好は!!」 なんだその格好は!!と聞かれちゃ黙っちゃいれない。「フッフッフ…」と私は不敵な笑みを見せながらこの格好が何であるかを答える。 「これはシェゾ!君の仮装だよ!」 三日三晩寝ずに作ったシェゾの衣装だ。それはもう穴があく程君を見つめて作った衣装だよ! 「気持ち悪いからやめろ!」 「だって今日ハロウィンだもん!ハロウィンと言ったら仮装でしょ仮装!」 「もう既にイタズラというか嫌がらせ紛いを喰らってるから帰れ!」 シッシッ、と追い払われる。 「食わず嫌いはダメだよシェゾ」 「食わず嫌いとかそういう次元じゃねーから!!」 「だってまだ披露してないアレやコレがあるんだよ!?」 「披露しなくていいから菓子ならサタンにでも強請っておけ!」 あんな変態緑のところになんて行きたくないし行ったらタダで帰されるわけないんだしだからシェゾのところに来たんだし! 「アレイアード・スペシャル!」 「アレイアード・スペシャル!(もどき)」 ガキン!と剣同士がぶつかり合う。ふふん、この闇の剣はもどきでも、ちゃんとした剣をそれっぽくしただけだから殺傷力あるもんね。 「真似をするな!」 「仮装だもん!」 「同じだろ!」 ぱこっ、と拳で頭を殴られた。 「ひ、ひどい……」 まぁ仮装しても、シェゾの中身までは真似できないか……それに多分、私もシェゾに「お前の仮装だ!」なんて言われながら私の格好をされてきたら確実に引くよね。 「…はぁ。帰って着替えてこい。そしたら菓子でも何でもくれてやる」 「シェゾのこともくれるの?」 「バ、バカヤロウ!…早く行け!」 ぽいっ、と洞窟から放り出される。なんかちょっとだけ、シェゾの顔が赤かった気がした。 END. 戻る |