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目が覚めたら、街の路地裏にいた。
なんだろう、私どうしたんだろう。
「大丈夫かよ、アンタ」
起き上がって真っ先に視界に入ったのは、赤い髪の女の子だった。多分、歳は私と同じくらいだろう。
「えっと…」
「ま、いいんだ。じゃーな」
女の子は立ち上がると、私の前から姿を消そうとした。
「ま、待って!」
慌てて呼び止める。女の子は私の方を顔だけ振り返って面倒くさそうな表情をしていた。
「あ、あの…」
「あ?」
「…ありがとう、ございます」
事情すらよくわかってないのに、お礼を言わなきゃならないような気がして…私はぺこりと頭を下げた。
すると女の子はハァ、とこれまたつまらなそうに溜息をつき、去っていってしまった。
結局私は何をしてて、何故彼女にお礼を言ったんだろう。
私は彼女に何をしてもらったんだろう。
考えても答えなんて出なかった。

「…なんで助けちまったんだろ。使い魔に襲われてただけなのによ」
杏子は本日二度目の溜息をつく。


END.

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