私は極普通の学生である。齢は今年で15になります。
いつもの通り、学校帰りに友達と喋りながら駅前まで来て、普通に寄り道して、普通にゲーセンなんかに寄って遊んでみたりして、そんな当たり前で、平凡な日常を過ごしてきていた。
友達と改札口で別れ、すっかり日が落ちた空をホームから眺める。肌寒い、12月の風が私の横を通り抜け、思わず身を震わせる。
冬休みに入ったらすぐにクリスマスだ。今年のクリスマスは、友達の家で一日中騒ぐ約束をしている。それを思うと寒さなんてどこかに吹き飛んだような気持ちになる。寒いなんて言ってられない。
『―まもなく、4番線を、電車が通過します。黄色い線の内側まで、お下がりください』
軽快な音楽の後、お決まりのアナウンスが聞こえる。私はハァッとあたためるように息を手のひらに吐きながら一歩後ろに下がった。――その刹那、
「――うあっ」
何かが私の背中に当たった。いや、違う。
…誰かに、思い切り背中を押された。
そのままの勢いで私は、ホームから落ちて線路に倒れこんだ。
そこからは、覚えてない。
ただ、電車の警笛が嫌に耳に響いたのだけは、確かに覚えていた。

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