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そして今に至る。
「アナタはここで負ける運命なのよ」
…どうしよう。おでんぱちゃんだ。
この…前髪揃え子ちゃん、基フェーリが私の第一戦目の相手らしい。…正直、こういうおでんぱちゃんは日常的にも相手にしたことがない。なんかダウジングロッド(だっけ?)みたいなの持ってるし。
「…わ、悪いけど、運命だろうが何だろうが、私は負けるわけにはいかないんだ」
すると、フェーリは驚いたように目を見開く。
「…運命に逆らうつもり?」
きっとそういうお年頃なんだろう。運命とか、絶対だとか、信じたい年頃なんだ。あの人と私は結ばれる運命なんだとか、今日の星占いは一位だからいいことがあるとか、そういうことを思っていた頃が私にもあった気がする。
「もう決まってることよ。アナタはここでオ・シ・マ・イ・ヨ」
彼女はダウジングロッドをスッと私の方に向けてくる。
と、同時に何か白い光が飛んできた。
「ッ!?」
慌ててそれを咄嗟に避ける。
「ルミナリー」
その詠唱に気付いた頃にはもう遅い。おまけに咄嗟に避けたせいで次の動きに移るタイミングがずれた。
「うあっ!」
太陽のように眩しいその光に視界を奪われ、それと同時に飛んできた衝撃波に飲み込まれる。そのまま重力に従い、受け身も取れずにズシャッと地面に倒れこんだ。
しかし彼女は詠唱を止めない。この場合止める方がおかしいのだけれど。視界の隅にはグルングルンとバトンのようにダウジングロッドを回すフェーリの姿が見えた。
「ホラリー」
なんとかして逃げないと。私は無理矢理身体を起こすと、その二つのロッドから放たれた光を強引に避ける。
このまま受けっぱなしじゃ、本当に負けてしまう!
「ファイヤー!」
思い切り手を伸ばして詠唱する。しかし私の手から飛び出した火の玉を、彼女はくるりと可憐に舞うかのように避けた。
「その程度でワタシに勝とうと思ってたの?…ム・リ・ね」
フェーリはニヤリと口角を上げる。
「運命に逆らうからこうなるのよ」