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ひと通りの自己紹介を終えて、私達は夕食をとることにした。
「ひゃっほーう!メシだー!!」
グラマーな女子―終里赤音ちゃんが早速テーブルに並んでる料理の数々に手をつけ始める。
『超高校級の体操部』の才能を持っていて、運動神経バツグンらしい。何気にスタイルもいいよね。…胸がとにかく大きい。
そんな彼女の食べっぷりを唖然としながら見ていると、隣に先程のリュックの女子―七海千秋ちゃんが来た。
「いきなりこんな南国に来ちゃって、戸惑っちゃったよね。どうしてキミがここに来ちゃったのかはともかく…まぁ、楽しんでいってよ。ここには何の危険もないからさ」
ね?と微笑みかけられる。その微笑みを見て、ようやく緊張感がスルスルと解けていく感じがした。
彼女の言う通り、ここにはきっと何の危険もない。この人達も悪いどころか、いい人達ばかりだ。こんな素性も知れない人間を置いてくれると言うのだから。
「ところでさ、彼女の寝泊まりするところはどうするの?さすがに女の子に外で寝ろなんて言えないしさ」
裾がギザギザのパーカーの男子―狛枝凪斗くんが、空いてる方の隣にやって来る。
「そこが問題なんだよな。コテージをもうひとつ…なんて、すぐに出来るわけないしな。としたら、誰かと相部屋ってことになるけど、神楽はそれでいいか?」
そこに更に創くんが私の真向かいに座り、見つめてくる。
「は、はい。…私、完全に部外者なのに…迷惑かけてすみません」
「いいって、気にすんなよ。こんなだだっ広い島に一人でいるのは心細いだろ?それに、仲間が増えるのは素直に嬉しいしな」
「創くん…」
彼の好意に、思わずキュンとする。こ、これはもしや、こ、こ……
「ボクも仲間が増えるのは嬉しいよ。神楽さん、何か困ったことがあったらボクに言ってね」
「私も何か力になるよ。お互い、助けあっていけたらいいよね」
ドキドキしていると、両脇の二人にも好意に満ちた言葉を掛けられる。なんて優しいんだろう。なんて親切なんだろう。
「あ、ありがとう、ございます……」
じわりと涙が溢れる。不安が一気に解消していくのがわかる。
ぐすりと鼻を鳴らすと、察してくれた千秋ちゃんがそっとハンカチを差し出してくれた。