「そうだ、神楽さん」
お昼ごはんを食べてコテージまで送ってもらい、中に入って私がコテージの扉を閉めようとした時、凪斗くんがその閉まりかかった扉の隙間から慌てたように顔を覗かせた。
「はい?」
「今日の夜、ホテルの別館に来てよ。ほら、ホテルの隣にある木造の」
そう言って微笑みながら外の、その別館がある方向を指差す。
「何かあるの?」
「あるよ。とにかく来てね」
じゃ、と手を振って凪斗くんはコテージを後にした。
私はきょとんとしながらも扉を占めて、またベッドに横になる。
千秋ちゃんは本当にあの後床で寝たのかな。なんだか悪いよなぁ、さすがに。
今日は私が床で寝ようかな。
そんなことをぼんやり考えながら、いつのまにか寝てしまったらしい。
起きた頃には、昨日夕飯を食べた時間だった。
「…あ」
寝起きの頭をフル回転させて、ようやく約束のことを思い出すと私は急いで身支度を整えてコテージを飛び出した。
急がないと!時間を聞いておくべきだったな。

幸いコテージからホテル別館まではさほど距離はなかった。そりゃもう、飛び出してきてしまったのがちょっと恥ずかしくなるくらい。
走ったせいで上がった呼吸を整えて、それから私は、意を決したようにその扉を押し開けた。


☆凪斗くんと一緒!【END】



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