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あの事件が起きてから一週間。
『♪♪♪…♪♪♪』
朝食のトーストを食べていると、電源を入れてあったDSから着信音が鳴り響いた。
あれから私は何かとDSの電源を入れっぱなしにしている。いつ着信があるかわからないからだ。生憎ながら、私は向こうがいつ連絡を寄越してくるのかわからない。だから、朝起きたらとりあえず電源を入れておいてあるのだ。…おかげでプレイ時間が近いうちにカンストしそうだけど。
「はいよ」
ライブキャスターが繋がってから画面を確認する。そこにはやはり、あのクレイジーホワイト…基クダリが映っていた。
『おはよ、ミコト!』
今はイヤホンをしてないので、部屋中にクダリの声が響く。
「何か御用?」
『いや特に何も』
「切る」
『わー、待って!』
連絡の数が多いのはどう考えてもクダリの方だ。一応、ノボリさんの方のライブキャスターからもこちらに通信できるそうなんだが、やはり忙しいのか、はたまた気を遣ってくれているのか、あまり連絡はこない。
しかしこのクダリは違う。正直ウザいくらいに私のライブキャスターを鳴らしてくるのだ。構ってちゃんどころの騒ぎじゃないぞ。
「朝の10分は貴重なんだよ。10分ありゃあ洗顔もトイレも済ませられる」
『いや、そうなんだけどさ』
「クダリはもうご出勤してるんですか?」
相手のカメラに映っている背景は制御室のようなところ。多分もうとっくにご出勤しているんだろう。
『もちろん。今日もバトルサブウェイは通常運行だよ。また20連勝してぼくに会いに来て!』
「そのうちにね」
とりあえず、先程も言ったように朝の時間は貴重だ。私はトーストの乗っていた皿を片付けると支度を始める。
「じゃ、もう行く時間だから」
『どこに?』
「学校」
『へー』
「電源切るから。夕方まで繋がらないよ」
『入れといてよ』
「ダメ」
私は一方的に通信を遮断すると、DSは部屋に置いて学校に向かった。



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