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今日は講義も休みだし、と思いながらベッドでごろごろしてる。ポケモンやろうかなぁ。でも電源入れたらまたあの白いのが元気な声を聞かせてくれるんだろうなぁ。
そんなことを考えていたら、ピンポーンとベルが鳴った。慌てて手櫛で髪を適当に整えると、玄関の方へ駆けていく。
「よっ、ミコト」
「あ、お兄さん。模様替えの件はありがとうございました」
「いやいや」
扉を開けたところで待ってたのは、隣の部屋のお兄さんだった。以前、部屋の模様替えを手伝ってくれたあの人だ。
「それよりポケモンやらね?始めるって言ってたし」
「あー、いいっすね。やりましょーか」
私はお兄さんを部屋に招き入れると、インスタントの紅茶をもてなす。インスタントでごめん。
「そうだ、模様替えのお礼に今日の夕飯一緒にどうですか?」
「マジ?ミコトの料理か、想像しただけで……まずまずってとこか?」
「うっさい黙ってください」
割と失礼なことを言っているお兄さんはDSの電源を入れてる。ああ、そっちのポケモンは正常なんだろうな……なんかちょっとだけ羨ましいよ。
「バトルサブウェイのマルチトレインとかどうよ」
…え?
「いつもCPUとしか組めないし、たまには人とやりたいかなと思って。もしかして、バトルサブウェイは初めて?」
「あ、いやいや。じゃあマルチトレインやりましょうか」
お兄さんには色々とお世話になってる手前、私は断ることはできなかった。



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