――― ああ、愛してる。愛してるわ。殺しちゃいたいほど愛してるの。 ああ、愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。 愛してる。あなたを。 愛してる。シェゾ・ウィグィィ。 あいしてる。 アイシテル。 ああ、あなたは今どこにいるのかしら。 わたしは愛するシェゾ・ウィグィィの影を探す。このプリンプタウンに何の脈絡もなく飛ばされたってわたしの愛は冷めたりしないわ! むしろ深まっていくの。あなたの姿がなかなか見えなくて、あなたに会いたくて仕方なくて深まっていくの。 ああ、どこなの。わたしのシェゾ・ウィグィィ。どこなの。 フラフラと森へ入っていく。しばらく進むと、愛しいあの声が聞こえてきた。 「お前は歌も歌えるのか」 この声は間違いなくシェゾ・ウィグィィ!やっと見つけた。私はその声のする方へ駆けていった。 「ケローン♪ケロケロケー♪」 なんか邪魔な声も聞こえるわ。何この声。カエル?まぁいいわ、邪魔するようなら殺るだけだから。 ひょっこりと木陰から顔を出して様子を伺う。そこにいるのはやっぱりシェゾ・ウィグィィ。それと変なカエル。 「ああ…かわいいなぁ〜…お前が…お前がマジでほしいッ!!」 「ケロッ!?」 「は、はあぁッ!?」 思わず絶叫してしまった。だってありえないじゃない…ありえないじゃない!! 「そ、そこにいるのは、まさかブラボー!!?」 ギョッとした様子でシェゾ・ウィグィィがわたしの方を振り返った。この際バレたって構わない! 「そうよ、シェゾ・ウィグィィ!あなたのためのブラボー!よ!!」 バッと木陰から姿を現して彼をジッと見据える。そうしたら、彼は凍りついたようにピシッと固まった。ああ、わたしに会えて彼も嬉しいのかしら。だって彼はわたしを見つめて離さない。 「ど、どうしてお前もここに…いや、そういう問題ではない。まさか、今の聞いてたのか!?」 「聞いてたわよ?…あなたにはわたしがいるでしょ?そんなカエルよりわたしがいいでしょ?わたしの何が不満なの!?」 「い、いや、落ち着けブラボー!…」 「落ち着いてられるかー!!」 ポイッとファイヤーをカエルに投げる。すると、カエルは悲鳴をあげて逃げて行ってしまった。それを見てシェゾ・ウィグィィは「あっ!」と声をあげる。そしてわたしの方をキッと睨みつけた。ああ、その熱視線…たまらない…… 「お前のせいで逃げたじゃないか!!」 「カエルは逃げてしまうけど、わたしは逃げないわ。たとえアレイアード・スペシャルを喰らっても!」 「今すぐ喰らわせてやろうか!」 「ああっ、あなたからの攻撃ならなんでも受けるわ!」 「逆にやる気失せるぞ!!」 「やっと愛してくれるのね!?」 「人の話を聞けーッ!!」 ぽくっ、と彼に頭を叩かれる。し、…し、……し、 「し、幸せだぁ……」 「どこぞの変態魔王みたいなことを言うな!!」 「あら、あんな変態でロリコンでストーカーな緑色と一緒にしないでほしいわ」 「同じようなモンだろ!!」 〜その頃・サタン城〜 「くしゅっ」 「あれ、サタン風邪でも引いた?」 「…誰かが噂しているのかもな」 ズルズル。 鼻かめよ。 〜・〜 「どうしてわかってくれないの、シェゾ・ウィグィィ」 「あのなぁ……」 森から立ち去ろうとするオレの後ろを奴はついてくる。何故彼女がこんな暴挙にばかり出るのか、オレにはわからなかった。 ある日は包丁を持ってお宅訪問。ある日は呼び鈴を何回も鳴らす。ある日はオレに一日ぴったりくっつく。ある日はオレの下着を盗む。ある日は…ある日は…ある日は…(エンドレス) 「シェゾ・ウィグィィ…」 オレの服の裾をきゅっと掴んできた。仕方なく立ち止まって振り返ると、彼女はオレを見上げて構ってほしそうにしていた。 こうしていると、普通のかわいい女の子なのにな。やることがいちいち予想斜め上すぎる。 「…その、『シェゾ・ウィグィィ』って。何故フルネームで呼ぶ?」 振り向いたはいいが理由なんて特になかった。なので、前々から気になっていたことを聞いてみた。 「なんとなくよ」 「なんとなくかよ!!…何か深刻な理由があるのかと思っていたオレがバカだった」 ハァ、と溜息をつく。すると、彼女は何故か目をキラキラと輝かせながらオレを見ていた。 「わたしのこと…心配してくれたの?」 …何を履き違えたのか。けど、彼女の機嫌を損ねたらまたどんな暴挙に出るかわかったもんじゃない。オレは仕方なく「ああ」と頷いた。 「シェゾ・ウィグィィ…!」すると、彼女は嬉しそうにパッと表情を明るくさせた。ずっとそうしていてくれれば、オレも気苦労が減るんだが…… 「…こ、これからは『シェゾ』って呼んでもいいんだぞ」 あれ、なんでオレ、奴から目を逸らしてるんだ。直視できないのか。 「わかったわシェゾ・ウィ…シェゾ!これでわたしたちの愛、一層深まるわね!」 「ねーよ」 付き合ってもいないのに『愛』なんて宣う彼女の頭をぽくっ、ともう一回叩いてやった。 END. 戻る |