超短い突発短文
「夏の日」「微睡み」と合わせてpixivに載せました




 薄暗い部屋で目が覚める。重いカーテンの向こうから薄らと光が漏れているが、その弱々しさが寝起きの目には心地よかった。雨がぱたぱたと小さく窓をたたく音に耳を傾け、再び瞼を下ろす。ベッドシーツの波と己の身体が一体化してしまったかのように重く気怠かった。
 もう一度目を開いてしまったらきっと、この湿気た部屋に射す太陽の光を求めてしまう。ささやかな光に背を向けて一層強く目を瞑った。拒絶というより逃避だった。
 伸ばした手は数度空を掴み、何も無いナイトテーブルの上に落ちる。馬鹿だと思った。誰ひとりとして己を救済対象として見てはいないのに、何に縋ろうというのだろう。思い浮かべる顔などひとつしかない、答えの分かりきった無様な疑問だった。
 ベッドから手の届く範囲に携帯電話が無くて良かった、と拳を包んで息を吐く。太陽は存外にも優しいから。


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