なんだか下品です
ご注意ください




レッドは突然俺の部屋に入ってきたかと思うと、ちょうど茶でも取りに行こうとして立ちあがった俺に足払いをかけ、そのまま乱暴に床に押し倒した。ガスンと派手な音を立てて、俺はレッドに組み敷かれることになる。レッドに両腕を取られて受け身もとれず、背中を床に打ちつけてしまって普通に痛い。

「…いってえ……いきなりなんなんだよ…」

俺が苛立ちをあらわにしてそういえば、レッドは謝ることもなくそれはもうナチュラルに俺の下半身をするりと撫でた。

「!?」

意味わかんねえ急になんだんだっていうか謝れよ!それより今日は下にねえちゃんがいるんだぞバレたらどうしてくれる。どうしてくれるっていうよりそれはもうどうしようもねえ。だからレッド今すぐその手を止めろ。
俺がこいつの不可解すぎてなんの脈絡もない行動に戸惑って思考を巡らせているあいだにも、レッドの手はするすると俺のからだの上のほうへ伸びていき、シャツのなかをまさぐってついには胸の突起を摘んだ。ひぁあ、と情けない声がでてしまって俺は思わずくちを手でおさえる。恥ずかしさでどんどん顔が熱くなるのが自分でもわかった。それでもレッドの手はやすむことなく、俺の乳首をくにくにとつねって、はさんで、親指の腹でころがした。

「んぅ、んっ」

くちを押さえてもびりびりとした快感を抑えることができなくて、鼻から抜けたようなあまい声が漏れる。ああもう恥ずかしい。レッドは必死に声を我慢する俺なんかは気にもとめず、遠慮なしに俺のシャツを勢いよく上にずりあげた。胸元までが外気にさらされて肌が粟立つ。そしてレッドは俺のへそあたりに舌を這わせて、つつ、とそのまま上へのぼっていき、俺の右の突起へかぶりついた。

「ひ、あっ!?」

くちびるで甘噛みされて、舌で飴でもなめるようにころころと乳首をいじられて、左のほうはいまだに手であそばれている。胸ばっかり女みたいに触られて、悔しくも俺自身はもうちゃんと芯を持ってズボンの下から主張していた。

「れっ、レッド、もっ、やあっ」

止めろって言いたいのに呂律がまわらなくて、それはただの喘ぎ声になってしまって余計に俺の羞恥心を煽った。レッドは赤い舌先で俺のピンと勃ってしまった乳首を舐めて、まわりを円を描くようになぞってちゅうっと音を立てて吸いあげた。ぞくぞくと快感が背骨をとおって俺はからだを弓なりにする。ふあ、と俺が息を吐いたのと同時にレッドはやっと俺から顔と手を離した。生理的な涙で滲んでしまった視界でレッドを見れば………

「よし、じゃあ帰るね」

おどろくほど清々しい顔をしていた。ていうか、帰るって?ここまでやっといて…帰るのか!?

「ちょっ、ちょっと待てよレッド!」

俺は慌ててすでに帰り支度をしているレッドを引き止めた。するとさも面倒そうな顔で振り返る。ほんとに何をしにきたんだこいつは!

「なに」
「なに、じゃねーだろ…」

これ、どうしてくれるんだ。俺は自分の下半身に視線をやってそう言った。ここまできたら恥ずかしさとか関係ない。俺の昂った熱をどうしてくれる。
レッドはちらりと視線をよこして、そして俺の顔を見てふんと鼻で笑った。ぶん殴ってやろうか。それからすたすたと俺に近づいて、くちびるにちゅうとキスをしてきた。一瞬で終わるような短いキスに俺は呆気にとられてしまったけど、そんなので絆されるほどばかじゃない。下半身に手をやれば、レッドのものもちゃんと勃ちあがっていた。

「おまえも勃ってんじゃねーか」

だからな、ほらちゃんとお互い処理しようぜ。その直後、俺の手はレッドに叩き落とされた。パシッと乾いた音が響く。

(え……ええーーーー)

なに俺なんか気に障ることしましたっけ。なにこの仕打ち。レッドは俺を一瞥してチッと盛大に舌打ちをこう言った。

「僕は中途半端にいじられた熱を、グリーンがひとりで僕を想いながらなんとかするのを想像しながら抜く」

だから帰るね。そう言ってレッドは再び帰り支度をはじめた。俺はこの言葉がまるで理解できなくて、何度も何度も反芻する。え、それってつまりなに?こんなに近くにいるのにお互いがお互いをおかずに自慰しろってこと?それなんの意味があるんだよ!今ヤればよくね!?そうすればお互いきもちよくて愛しあえていいんじゃねーの!?
俺はもう一度、今度は部屋から出んとするレッドの手を掴んだ。するとやっぱり面倒そうな顔で振り返る。なにこれデジャブ……

「なあ!」
「なに」
「今すればいいじゃん!それとも…俺じゃだめなのかよ…?」

この場合、レッドは俺をおかずにするわけだから俺がだめなわけじゃないんだけど、つまり今ここにいる俺じゃだめなのかっていうことで、だいたい雰囲気で察してくれることを願う。するとレッドはハッとした表情で俺の方へ向き直った。そうだよな、やっぱりふたりできもちよくなりたいだろ。だからそんな不可解な考えは捨てて、お互い半勃ちのこいつらをなんとかしてやろうぜ。

「グリーン…!」
「レッド…!」

レッドが手を挙げたので、俺は両手を広げた。さあ飛び込んでこい俺の胸に!
次の瞬間、パシッという派手な音とともに頬にするどい痛みが走った。え、俺、ぶたれた…?レッドに?…なんで?
レッドを見れば軽蔑したような眼差しを俺に向けて、

「セックスとオナニーの違いもわからないの!?」

グリーンにはがっかりだよ!と吐き捨てて部屋を出ていった。そしてそこには、ぶたれた頬を抑えながらいまだに勃起してしまっている俺だけが残されたのだった。












意味がわからない