「ってえ!」


グリーンを玄関のかたい床に組みしいて、僕の上着で両手首を縛りあげた。
顔を床にこすりつけ、膝をついて腰をつきだすようにして。
なんてみっともない。
思わず口の端がつりあがって、息だけでわらった。


「…なに、わらってんだよ」


僕の顔も見ずにグリーンが言う。
さすが幼なじみ、以心伝心。
なんだかうれしくなって、僕は彼の背中をするりと撫でた。
同時にグリーンのからだがびくりと跳ねる。


「レッド」

「ん?」

「ほどけよ、これ」

「やだ」

「だいたいなんのつも、っ!?」


言い終わる前に僕はグリーンの上着に手をかけ、なかに手を入れた。
抵抗しようとするグリーンの首をおさえつけ、ゆるゆると上へ。
じっとりと汗ばんだ背中から、背骨をなぞって肋骨。
ここは胃、肝臓、心臓、肺。
なかを確認するように撫でる。
たどりついた胸の突起に爪をたてた。


「っ!」


大きく反応したけれど、決して声はださなかった。
ほんとうに強情。
僕はきみの声が聞きたいのに。
右を執拗に責めたてる。
指先でころがすようにして、たまに引っ掻いてみたり。
グリーンは唇をつよく噛んで声を出さないようにしている。
歯が皮膚を突き破って唇にはうっすらと血がにじんでいた。
横から顔をのぞきこむ。


「グリーン、きもちいい?」


僕がそう訊いてもグリーンは僕を見もしない。
髪の毛をつかんでからだを起こし、血でにじんだ唇をぺろりとなめる。
ああ、グリーンの血っておいしいんだ。


「ねえ、きもちいいって言って?グリーンのくちからききたいんだ」


耳元にくちを寄せてそう囁いた。
ついでに舌をねじこんで、耳のなかをぐちゃぐちゃに犯す。
耳たぶを甘噛みして、くぼみを丁寧に舐めて、穴に舌をそわせて。


「…はあっ、…うるせっ…やめろ…!」


あつい吐息を混じらせながらグリーンが言う。


「からだは正直なのにね」


僕はもう一度ささやいてから、今度は唇にキスをした。
あくまでやさしく。
そしてグリーンの顔を床に叩きつける。
僕のだいすきな、きれいな顔が傷つかない程度に。
それから彼のズボンを思いきり下へずりさげた。
下半身があらわになる。
ゆるく勃ちあがったグリーンの局部にするりと手をのばした。


「あっ」


ほら、ちゃんと感じてる。
今度は、どんどん容積を増すグリーン自身の先端に、爪をたてた。


「…っ…はあっ…」


グリーンの喘ぎ声が大きくなる。
後ろ手に縛られた両手はかたく握られていて、指先が白く変色していた。
先端からはじわりと白濁が漏れる。
ほんの少量を指先にとって、僕はグリーンのうしろにそれをあてがった。


「うあっ…なにす…っ!」


びくんとしたグリーンの制止も聞かず、指をぐっと押し込んだ。
すこしのぬめりしかないグリーンのなかには簡単に入らない。
それでも僕は無理やりに突き進めた。


「いっ…て…!…はあっ…」

「グリーン、ちから抜いてよ。入らない」

「やめ、ろ!」


あまりに暴れるものだから、僕は指を引き抜いて、グリーンの頭をもう一度床にたたきつけた。
今度はちょっと強めに。
痛そうに低くうなるグリーンの腰をつかみ、勃起した僕を穴にねじこんだ。


「いっ!?」


頭の痛みとはまた違った激痛が走ったんだろう。
でもグリーンが悪いんだよ、おとなしくしないから。
ぐりぐりと押しつけて、グリーンを無理やり開こうとする。
僕の先走りが潤滑油になって、穴は徐々に僕を飲み込んでいく。


「あっああああ、あ、やめ、!」


グリーンの悲鳴にも似た声が響く。
ぶちりとなにかがちぎれるような音がして、グリーンは僕をぜんぶ飲み込んだ。
あたたかくて、きゅうきゅうと僕をしめつける。
きもちいい。
ああ、グリーン。
僕はきみがすきだよ、すごく。


「ねえグリーン、僕はグリーンとひとつになれてしあわせだよ」


正直にそう言うと、グリーンは低く掠れた声で。


「しね」


と言った。床に向いた顔は見えない。
僕はなんだか居ても立ってもいられなくなって、グリーンからずるりと自身を引き抜いた。
そして、彼の横腹を思いっきり蹴飛ばした。
つまさきでバキリという感触。
身じろぎひとつしなくなったグリーンは白くてきれい。
あらわになっている下半身がひどく艶かしかった。
体温をなくしたかのようにつめたい足を撫でて、やさしくキスをする。
グリーンの目が覚めたら、つづきをしようね。
僕はもう一度、彼に唇を寄せた。












つめたい足
企画"karada"さまへ提出