レッドさんがぬこになる話
そもそもpkmn界にぬこはいねえとかそういうのは無視で



















鏡を見れば、そこにはまっくろな猫。
ほんとうにまっくろ。
ただ、眼だけは光るように赤い。
すらりとしているけど耳は大きめ。


ある朝、目覚めたら僕は猫になっていた。


まあ死ぬわけじゃないし。
特に驚くこともなく、僕はまたベッドでごろごろと昼寝をした。
母さんが見たらびっくりするだろうから、静かにごろごろ。
それでもすっかり日が高くなったころ、僕は完全にひとりに飽きていた。
そのとき頭に浮かんだのは茶色のウニ頭。
ちなみに僕は、ウニはあんまりすきじゃない。


(グリーンのところにいこう)


思い立ったらすぐ行動。
グリーンならあそんでくれるよね。
僕はかなり身軽になった身体で、2階の部屋からグリーンの部屋の窓枠へ。
案外うまくいくもんだ。

たしたしたし。
グリーンの部屋の窓を叩く。
すぐに気付いたのか、グリーンは窓を開けて僕を見た。


「ねこ…?おまえ、どこから来たんだ?」


となりの家から。
僕はニャーと鳴いた。
そして遠慮なくグリーンの横をすり抜けて部屋に入った。
おい、という声も無視してベッドの上でうずくまる。
馴染んだにおいだ。
もうひと眠りしよう。


「…まあ、いいか」


グリーンが小さくつぶやくのが聞こえたけど、僕はそのまままどろみにおちた。













ぎしり。
ベッドが軋んだ音で目が覚めた。


「あ、わりい、起こしたか?」


グリーンが僕のとなりに座ったようだ。
そして僕の頭や背中を撫でる。
やさしくて気持ちがいい。


「おまえ、どこの猫だ?」


返事も面倒なので尻尾を振る。


「無視かよ。勝手に入り込んできてこの態度とは…図々しいやつ」


言葉のわりに、相変わらずグリーンの手はやさしい。
僕はむくりと起き上がって、グリーンの膝の上に移ることにした。


「なんだ、かわいいところもあるじゃねーか」


グリーンは僕を撫でるのをやめて、本を読みだした。
そしてまたおとなしくごろごろしていたのだが、気付いた。
僕は起きてからなにも食べてない。
きっと数時間は経っているだろう、僕は空腹だった。

たしたしたし。
前足でグリーンのひざを叩く。


(ごはん。はやく。)


「どうした?」

「にゃー」

「……?」

「にゃー」

「…腹へってんのか?」


正解。
グリーンのひざを叩くのをやめる。


「おっまえ…ほんとに図々しいな…」


そう言いながらもグリーンはちょっと待ってろと言って部屋を出て行った。
そしてまた部屋に戻ってきたときにはいいにおいのする焼き魚その他もろもろ。


「猫といえば魚…おまえ食えるか?」


僕はニャーと鳴いて、出された食事にありついた。
がつがつ。
黙々と食べる僕を見ながらグリーンは、


「…あいつに似てるな。そうだ、おまえの名前はレッドにしよう!」


と言った。
僕は驚いて顔をあげ、グリーンをじっと見つめた。
するとグリーンはすぐに、


「いや…ちょっと待て俺…猫にレッドの名前つけるとか…乙女か!今のなし!」


と言って頭を抱えて呻いた。
おもしろい。
僕はまたニャーと鳴いて食事を再開した。










「さて、もう寝るか」


何事もなく夜になった。
僕は相変わらずグリーンのベッドでごろごろしている。
ジムリーダーの仕事をこなしていたらしいグリーンはぐっと伸びをしてベッドに入る。
僕もグリーンのとなりでまた丸くなる。
グリーンはまたあのやさしい手で僕を何度か撫でて、おやすみと言った。
そして次の朝はグリーンの悲鳴で目が覚めることになるのだ。













ぬっこぬこにしてやんよ

「ぎゃああああああああああああああああああああ」

「…うるさいなあ…」

「おおおおまっ、レレレレッドなんでここに…!」

「なにが」

「しししかもぜぜぜぜ全裸でっ…俺のベベベッドに…!」