「ただいま」
「お帰り、レッド」
玄関先で行われる熱い抱擁とキスはもはやお約束となっていて、俺はレッドの背広姿に見惚れながらご飯にする?お風呂にする?それとも、と言いかけた唇をレッドの白い指先に塞がれた レッドはにこりと笑ってデザートは最後だよ、と愉快そうに食卓の方へ行ってしまった 真っ黒な背広をハンガーでかけ、よそ者の匂いがしないかチェックする うん。今日も真っすぐ帰ってきたな、と頷き俺は愛しい旦那の元へと向かう これだけ愛し合っていても繋がったことは未だになく、俺もレッドもお互いに腹の探り合い どちらかのGOサインが出るまでおあずけだなんてとんだ焦らしプレイだ 一緒に住み始めて数週間。そろそろいいんじゃないかとちらりとレッドの方を見ると、美味しそうに俺の作ったもやし炒めを頬張っていた もきゅもきゅとした音が室内に木霊し、レッドの口の中はもやしで埋まっていた 油でてかった唇がやけにいやらしく見えて俺の顔が自然と赤くなる ふとこちらを見る視線を感じ正面に目を向けると、案の定レッドが不思議そうに俺の方を見ていた
「…ろうひはの、はへはひの?(…どうしたの、食べないの?)」
先程と変わらない量のもやしを口に含んだまま、レッドが話しかけてきた まずは口の中にある食い物を片付けてから喋れ。勿論、翻訳は愛の力でカバー 首をこてんと傾げ目を丸くさせながら俺をじっと見てくる 可愛い、とかそういうもんじゃない。もっと、何かを見透かすような目で 俺はいたたまれなくなってしまい食欲がない、とだけ言うとそそくさとリビングの方へ行きソファにぼすりと倒れ込んだ 恥ずかしい。俺は今何を考えていた? レッドにああいう風に食べられたらきっとキモチイイ…なんて頭の悪い考えが纏わりついて離れない 俺は一人でぎゃいぎゃい騒ぎながら頭の上で広がっていた妄想を両手で掻き消した 毎日がこんなことの繰り返し。いつになったらお前と繋がる事ができるんだよ
「…食欲ないんだったら先にお風呂、入れば」
「っ…そうする」
後ろから声をかけられ、思わず肩が跳ねる。相変わらず無表情のまま俺を見据えるレッド。昔からそうだったが、何考えてんだかさっぱり分かんねえ するとレッドは俺の隣に座り、がしっと肩を掴んで自分の元へと引き寄せた 近付いた顔と顔がくっつきそうでトクン、と心臓が一つ鳴る 俺は俯き加減になりながらレッドの唇を目で追った
「…もう、いいよね?」
その言葉が何を意味するのか俺は一発で理解できた 遂にこの日が来た。レッドと…結ばれる日が! どれだけ待ちわびたのかと指を折り曲げ数えてみる。だが、そんな事をしてる場合ではない レッドの言う通り風呂に入って準備をしないと 俺は直ぐさま風呂に入り、シャワーを浴びた 気になる所は念入りに。ついでに歯磨きは2回とケアを大切に 自分の顔が鏡に映り、そっと触れてみた
「…よし」
イイ顔だ。と自分自身を褒め俺は顔をぱしんと鳴らした 風呂から上がるとレッドが背を向けて半裸状態でマットの上に立っていた 見慣れないレッドの裸は目に毒だ。白くて華奢で、女みたいで でもどこか頼りたくなる、そんな背中を俺はそっと指でなぞった つぅ、と肌に食い込む爪が赤い跡となって残されていく その行為を繰り返しているとレッドは俺の手首を掴み、ちゅっと指にリップ音を鳴らした
「…どうしたの?我慢、できない?」
耳から入ってくる透き通った声が頭の中に響き渡り、俺は今直ぐにでもレッドの体を求めそうになる
「できるから…早く、入ってこいよ…」
「いい子」
カプ、と耳をかじられ一舐めされると俺はぞわりとした感覚が膝から抜け落ち、壁にもたれかかった やばい。今ので潰されそうだ 興奮した体をタオルでぐちゃぐちゃに拭き取り、色違いの下着とパジャマをそのままリビングへ持っていった 熱くなった体を冷やす為、扇風機の前に立ちどうしよう、どうしようと風に向かって話しかける。ブレた自分の声が頭の中で再生され、頭にタオルを被せて床に転がり回る。あ、何だか乙女チック くくっと笑みを漏らしタオルを握りしめていると風呂場からガチャリとした音にはっとする 俺は慌てて下着とパジャマを着用し、あまり得意ではないボタン付けを3秒で終わらせると何事もなかったようにソファに座り込んだ トントンと近づいてくる足音に、俺の心臓の音が煩くて適当につけたテレビの音が掻き消される ああもう、止まれよ。こんなのレッドに聞かれたりでもしたら、
「グリーン、ズボン反対」
「へっ?」
レッドの指摘通り本来あるはずの後ろのポケットが前からこんにちはしており、俺はあまりの恥ずかしさにタオルで顔を隠してレッドの姿を遮断した
「…緊張してるの?」
「そっそりゃあ、お前と初めて…するん、だし」
しない方がおかしい、と言った瞬間俺はタオルを剥ぎ取られ赤い目と目が合った まともに見ようとすると頭と体の危険信号が同時に発令しそうだったから、俺は目を逸らして代わりにレッドの胸元に手を置いた
「…レッド、」
「…あっち、いこっか」
手を繋いだまま俺達は寝室へと向かった 繋がった手と手が段々汗ばんでくる ふわふわした様な、不思議な感覚。きっとレッドも同じ事を思っているだろう 握る手を強められ、ギシリとベッドが傾く レッドはかしこまって俺の真正面に正座し、それにならい俺も足をたたんだ
「これからも色んな事、あると思うけど」
「おう」
「俺はグリーンとずっと一緒にいたいと思ってる」
「俺も同じ気持ちだ。んで、お前を幸せにする」
「…それ俺の台詞」
ははは、と俺達は笑い合いお互いの手をゆっくり解いて自分達の膝に乗せた ふぅ、と一呼吸置き突っ張っていた神経をリラックスさせて背筋を伸ばす
「…じゃあ、」
「…おう」
かちっとしたパジャマを伸ばし、お互いに深々と頭を下げた
「「よろしく、お願いします」」
これからもよろしく。そして幸せになろう 大好きなお前がいるなら、俺は何もいらないから ずっと一緒にいような
世界で1番、愛してる!
「お前、パンツ反対じゃねーか」
「…あ」
******************** とかちさんリクエストの赤緑で『新婚なかんじのハッピーなレグリの初夜』です! 新婚という事で(勝手に)一緒に住んでもらいました。これでもかというくらいベターな仕様ですが楽しかったです…!緑が暴走した感が否めません!
とかちさんに限り煮るなり焼くなりお好きにどうぞ! リクエストありがとうございました☆
……… かもみーる。の炎香さんにいただきました! わたしの意味のわからないリクエストをここまですてきに…! 完璧なまでの新婚!おめでとう!ありがとう!(??) 赤さんの背広姿とかたまりませんね… きっとこのあとも熱い夜は続くのでしょう 余すところなく覗いていt…おっとだれか来たようだ ほんとうにありがとうございました! しあわせすぎました!わたしが!
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