名前の無い少年(2)
鹿生さん、手紙、特進科の少年。何も感じられない手、拒絶。夏、葬列と煙。海へ向かう舟。草の蒸れた匂い。水が流れる。
火、痛み。
(『タイカは星のなまえだ』)
知らない。ユキはそういうの、詳しいから知っているかも。
(『こんど、あうときまでに、おれが手にいれていたら』)
(『くれるか』)
あんたに欲しいものがあるなら、そうすればいい。
誰かに赦されて、誰かに赦されないことは、ほんとうは、あってはいけないんだと思う。
好きにすればいい。
(『わかった。…そうする』)
ひどく嬉しそうに笑う、その頭上の天は一面の星で溢れていた。
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