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人魚姫(わかさぎ姫)


「人魚姫だ」と彼は言う。
「いいえ、わかさぎ姫です」とわたしは返す。
そんなに綺麗なひとではありませんと首を振れば、彼はそんなことないと強く否定した。
「王子様は誰だろうね」
「あら、貴方ではなくて?」
「おれでいいのかい? おれは王子様というより、君の願いを叶える魔法使いさ」
「無欲な方ね」
「強欲さ。さあ、君の願いは?」
「貴方が白馬……いいえ、箒に乗って迎えに来てくれる日を待ってるわ」
「……では早速その願い、叶えましょうか」
「地上へ連れてってくれるの?」
「それもいいけれど、2人でひっそり暮らすのも悪くはないんじゃないか? この湖で、ね」

そう悪戯っぽく笑う彼はひどく輝いていた。これほど王子と呼ぶに相応しいひとが、どこに居るだろう。



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