スパナ妹が弟だと勘違いされる話

「……誰?」
 それはこっちのセリフだ。思ったが、口に出すことは憚られた。
 凍えてしまいそうなほど冷たい視線がツナの身に突き刺さる。
 部屋に入ってきたのは、赤い作業服を着た少年だった。薄い色の瞳がスパナと名乗った青年とそっくりで、恐らくは兄弟なのだろうと思う。
「スパナ。こいつ、誰?」
「ボンゴレ10代目」
 改めて問われて――先程の言葉は聞こえていなかったのかもしれない――ようやく、スパナが答えた。その手は作業を止めず、振り向きもしないままだ。少年の眉間に皺が寄る。
「ボンゴレ……って、アジトに侵入した敵のことだよね?」
 言いつつ、ツナを拘束する手錠に気付いたようだ。
「捕まえたんだ? そういう命令?」
「いや、正一の命令は迎撃だった。でも殺さないでここに連れてきた。正一には行方不明って報告して」
「正一に嘘ついたのか!?」
 驚愕と怒りが混ざりあった大きな声が響く。ツナは自分が怒鳴られたわけでもないのに身を竦めた。
 当のスパナは飄々としている。
「これを完成させたい。ボンゴレの必殺技だ」
 相変わらず作業の手を休める様子はなく、怒りに震える弟を振り返りもしない。
 沈黙が続いた。
 ツナの視線が兄弟の間を三度ほど往復した頃、少年が深く溜め息を吐く。仕方がない、というように。
「……大体、あんた本当にボンゴレ10代目? なんだか小さいけど」
「えっ」
 急に矛先を向けられて、びくりと肩を揺らす様は確かにマフィアのボスとは言い難い。
「ええと、その、」
 いや、そもそもオレはただの中学生だし、将来もボンゴレの10代目になるつもりはなくて。頭の中でぐるぐると回る言葉たち。その一つさえ、上手く口にできない。
 慌てるツナを少年はじっと見つめていたが、唐突に不安げな表情を浮かべた。
「もしかしてウチの言ってることわからない? 日本語がんばって勉強したんだけど……」
 目に見えてしょんぼりしだした彼は、さっきまでとは違い、可愛らしい印象だ。よく見れば年齢もツナとそう変わらない。細身だし、あまり強そうにも見えなかった。何だか急に親しみを感じて、ツナは表情を緩める。
「大丈夫、通じてるよ」
「……じゃあ何で答えないんだよ!」
「ひいっ!」
 やっぱり恐い!
 ツナが飛び上がると同時、スパナが首だけで振り返った。銜えていたキャンディーを口から出し、それでツナを指し示す。
「確かに小さい。Sサイズでもブカブカだった」
 ツナが今着ている作業服のことだろう。
「……ウチの服は貸さないから」
「そう言うと思って貸してない」
 ニッと笑うスパナ。少年は、照れているのか怒っているのかプイッとそっぽを向く。
 微笑ましい光景を見て、やっぱり二人は兄弟なのだとツナは確信した。

‐‐‐
最初弟主で考えてたけどこれ妹の方が萌えるんじゃね?と方向転換しました

デフォルト名:リーマ
年齢:14才
階級:D
属性:嵐
所有匣:Fシューズ/嵐ハイエナ改
詳細:とにかくスパナが大好き(not恋愛感情)なブラコン。兄からの影響で、日本大好き。
スパナの助手だが必要ならば戦闘に参加することも。また最近では手伝いだけじゃなく、武器の改造・開発に挑戦している。嵐ハイエナ改は初めて“実戦でも使えるレベル”になった作品。
常時つなぎ着用、髪は短く、日本語での一人称はスパナと一緒の“ウチ”、口調も乱暴なため、ツナたちから男の子だと勘違いされてしまう。男装をしているつもりも男に見られたいわけでもなく、単にオシャレに興味がないだけ。最近は、ちょっとは興味が出てきたようだが、恥ずかしい&自分には似合わないからと相変わらず興味がない振りをしている。
優しくて自分のことをちゃんと女の子扱いしてくれる正一に片思い中。
ただし最終的には「兄貴と入江にベッタリで恥ずかしいやつ!」「はあ!?あんただっていつも姫様姫様アニキアニキってうるさいくせに!」と喧嘩ばかりしてた野猿とくっつく。
……みたいな話が読みたいです_(:3 」∠)_

◎おまけで匣兵器詳細
嵐ハイエナ改
一つの匣から五匹のハイエナを出せるよう改造された嵐属性の匣兵器。
名前はタロ、ジロ、コロ、ハチ、ポチ。
五匹の性格はそれぞれ違うが総じて好戦的である。
なお、パワーやスピードは一匹分の能力値がきっちり五等分されており、普通の嵐ハイエナより五倍強いというわけではない。

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