あとも先も見てしまわないで
息継ぎに気をとられて
蹲るのが目に見えてる
選ばれない一等賞と
置き土産を探してた
缶詰の中で丸くなる
気障な台詞で笑い飛ばして
櫛を送って眠りにつこう
形状記憶の恋心
壊さないなら譲ってあげる
山茶花を千切れば変われると
雫の筋なら干からびている
素通りを日課にしたのなら
世辞には指輪でも返しておこう
側面がこちらを向くまでは
谷間に臨んだ哀れ人
蝶番なんて無かったよ
継いだ息すら飲み込んで
天に祈らず地底を見果たせ
閉じた夢でも現は其処に
なぞる指先は冷たくて
乳白色を切り裂いた
泥濘にすら見放され
寝ても覚めてもゆめの中
のたうち回ったそれが欲
葉桜でもお団子を
比類なきその馬鹿さ加減で
藤の隙間の光に触れた
隔たれたって届いてみせる
程なく途切れた暗澹へ
真綿で包んだ針を隠した
道標を踏みつけて
無気力と言う水槽
メランコリアにマシュマロを
文字列だけの絵葉書
厄除けに悪魔はいかが
柚子を飲み込む私を見てよ
汚した世界の始末は誰が
落日に影を追いかけた
鱗粉まぶした口紅で
留守番電話とお人形
冷夏と快晴
論理的な理不尽
私を呼ぶのがお上手ね
をかし、と鈴を転がす音がする
さようなら赤ずきん